飼料作コントラクタにおける収穫作業計画の策定方法

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要約

コントラクタが、作業圃場の順路や作業班のグループ分けを勘案し、効率的な粗飼料収穫作業の基礎的な計画を策定するための方法を、最短距離で多数の地点を巡回するためのルートを求める巡回セールスマン問題の解法を用いて開発した。

  • キーワード:コントラクタ、粗飼料収穫、作業計画、セールスマン巡回モデル
  • 担当:北農研・総合研究部・農村システム研究室
  • 連絡先:電話011-857-9309、電子メールamanot@affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・総合研究
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

粗飼料の収穫作業を行うコントラクタでは、広域にわたる農家圃場で収穫をするため、効率的な作業計画の立案が難しい。委託農家の要望としては、料金の低額化とともに高品質なサイレージ生産への意向が高いが、その実現のためには周到な計画を立て、収穫作業の前進や予乾時間の確保を図ることが重要である。そこで、コントラクタにおける作業計画の立案を支援する目的で、セールマン巡回問題(Travelling Salesman Problem)の解法を援用して、多数の農家圃場を効率的に収穫するための作業計画を策定する方法を開発した。

成果の内容・特徴

  • 作業計画の策定手順は以下の通り(図1)。
    1)収穫する圃場の位置、面積をデータファイルに記録する。
    2)各圃場の位置を号線を基準に補正し、号線沿いの圃場間の距離を算出する。
    3)TSP計算プログラムにより、移動距離が最短となる巡回順を求める。
    4)作業開始日、および降雨パターン(1981~01年から選択)を決定し、TSPの巡回順にしたがって、圃場ごとに推計さ
      れる作業時間と圃場間の移動時間および当日及び翌日の降雨の有無を判断して日別の作業計画を策定する。
    5)牧草収穫の場合、日別作業計画は作業時間を規定するモアコンディショナの作業時間を基に策定しており、その
      作業能率は作業面積の広さとの関数から推計している。
  • 必要に応じ何パターンかの受託圃場の分割案を想定して、cluster-first/route-second methodに基づき、巡回順を求めて日別計画を策定することにより、収穫班の再編成の効果を推計できる。
  • 十勝管内のコントラクタの事例では、移動距離を短縮(146km)させつつ、作業を前進(平均0.9日)させる計画(計画型3)が策定され、コントラクタ収穫作業の効率化の可能性が示唆された(図2、表1)。

成果の活用面・留意点

  • 新たにコントラクタを発足させる際や、作業圃場数やハーベスタの増加により作業計画の見直しを行う際の基礎的な作業計画の立案に利用できる。
  • 作業計画策定のためのプログラムはBASIC言語で記述されている。また、成果は「アルファルファのホームページ」に掲載の予定。

具体的データ

図1 コントラクタの牧草収穫作業計画の策定手順

 

表1 TSPによる一番草収穫作業計画の策定結果と実績との比較

 

図2 一番草の収穫作業の実績と計画における作業経路の比較

その他

  • 研究課題名:高品質飼料生産システム確立のための地域支援システムの確立
  • 予算区分:アルファルファ
  • 研究期間:2000~2001年度
  • 研究担当者:天野哲郎、相原克磨、鵜川洋樹、若林勝史