メドウフェスク遺伝資源におけるエンドファイト情報
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要約
日本の育成品種を含む多くのメドウフェスク遺伝資源はエンドファイトを保有しているが、家畜に有害なアルカロイドを産生していない。メドウフェスクは飼料用として利用する場合、エンドファイトは問題にならない。
- キーワード:メドウフェスク、エンドファイト、アルカロイド
- 担当:北農研・作物開発部・イネ科牧草育種研究室
- 連絡先:電話011-857-9273、電子メールttakai@affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・畜産草地、畜産草地・飼料作物育種
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
イネ科牧草に内生しているエンドファイトは、耐虫性および耐乾性で有益ある。しかし、ペレニアルライグラスおよびトールフェスクでは、家畜に有害なアルカロイドを産生し、日本においても輸入飼料でエンドファイトの中毒が散発している。本研究では,日本・ヨーロッパ・旧ソ連のメドウフェスク遺伝資源についてエンドファイトの保有状況,アルカロイド含有量を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 日本で育成されたメドウフェスク5品種はいずれもエンドファイトを保有している。これらは、家畜に有害なアルカロイドであるエルゴバリンとロリトレムBを含まず、家畜に無害で耐虫性に関係するロリンアルカロイドの一種N-formyllolineを含んでいる(表1)。
- ヨーロッパおよび旧ソ連のメドウフェスク遺伝資源では約1/4でエンドファイトを保有している。これらは、家畜に有害なアルカロイドであるエルゴバリンとロリトレムBを含まず(表2)、家畜に無害で耐虫性に関係するロリンアルカロイドの一種N-formyllolineを含んでいる(図1)。
- エンドファイト保有率が高いとN-formyllolineの含有量が高まる傾向にあるが、保有率が高くてもN-formyllolineの含有量の低い系統もあり、エンドファイト利用にあたっては菌株を選定する必要がある。また、日本の育成品種・系統はヨーロッパに比べてN-formyllolineの含有量が高い(図1)。
成果の活用面・留意点
メドウフェスクの品種選定あるいは遺伝資源を利用する場合、家畜に対するエンドファイトの有害性を考慮に入れる必要のないことが示唆された。また、耐虫性に関与するロリンアルカロイドを産性するエンドファイトは耐虫性向上に活用できる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:エンドファイトの分離と耐凍性、耐雪性との関係解明
- 予算区分:低温ストレス
- 研究期間:2000~2002年度
- 研究担当者:高井智之、眞田康治、山田敏彦