てんさい真正種子重の簡易測定法
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要約
粉砕したてんさい果実に含まれる真正種子の比率が近赤外分光法により効率的に
測定でき、比率と果実重から真正種子重が効率的かつ高精度に推定できる。
- キーワード:てんさい、果実、真正種子重、高精度、簡易測定、近赤外分光法
- 担当:北農研・畑作研究部・てん菜育種研究室、同・同部・流通システム研究チーム
- 連絡先:電話0155-62-9271、電子メールktaguchi@naro.affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・作物
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
てんさいの直播栽培では、苗立ち数が確保され、初期生育を旺盛にして生育を促進させることが、安定確収を実現するために必要である。てんさいの初期生育には、真正種子重の大きさが関与しており、直播向け系統の育成には真正種子重による選抜・改良が有効と考えられる。
真正種子重の測定は、これまで発芽直後の果実から、ピンセットで真正種子を取り出し、乾物重を測定後、1粒あたりの真正種子重を算出していた。そのため、多大な時間と労力を伴うものであった。そこで、近赤外分光法により、果実に含まれる真正種子の比率を簡易に測定し、真正種子重の効率的な測定法を開発する。
成果の内容・特徴
- 粉砕したてんさい果実のスペクトルパターンは、2308nm、2348nmなど脂質に帰属する波長において系統間差が認められ(図1)、真正種子の比率を推定する上で有効な波長であった。
- 果実重と真正種子重との間には、有意な相関関係が認められるが、果実重から真正種子重を正確に推定できない(図2)。
- 近赤外分析法による真正種子の比率(図3)と果実重の積から、真正種子重が推定できる(図4)。
- 従来法では、1サンプルあたり1時間を要したが、近赤外分光法は1分で測定が可能であり、効率的である。
成果の活用面・留意点
- てんさい品種・系統の真正種子重の選抜に利用でき、直播向け系統の育成が促進される。
- 真正種子重の比率の測定には、選択波長領域1100nm~1400nm、1600nm~1800nm、2000nm~2450nmとする。
- 果実重には千粒重を用いる。
- 近赤外分光分析に用いるサンプルは、1サンプルあたり10gの果実を粉末化する必要がある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:てんさい真正種子選抜による種子親系統の育成
- 予算区分:21世紀4系
- 研究期間:2002~2005年度
- 研究担当者:田口和憲、六笠裕治、阿部英幸、田中征勝