マニュアスプレッダを利用した冬期高品質堆肥化技術

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要約

マニュアスプレッダを改造した堆肥堆積運搬車とホイルローダの組作業により、乾草や乾燥させた戻し堆肥等で水分を70%程度に調整した堆肥を切り返すことで、寒冷な冬季においても短期間で良質の堆肥を得ることができる。

  • キーワード:堆肥化、切り返し、マニュアスプレッダ
  • 担当:北海道農研・総合研究部・農業機械研究室
  • 連絡先:電話011-857-9265 電子メール unitoge@naro.affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・総合研究
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

近年、家畜の飼養頭数が急速に拡大した事等による家畜排せつ物処理に関する問題を解決するために、大量に排出される家畜排せつ物を、低コ ストで簡易に処理し、寒冷な冬季においても短期間で良質の堆肥を生産する技術の開発が求められた。堆肥化処理能力の増大と処理時間の短縮、さらに冬期間に おける発酵促進を目的として、堆肥堆積運搬車とホイルローダの組作業で、寒冷な冬季においても短期間で良質の堆肥を得るために必要な条件を明らかにし、効 率的な良質堆肥生産技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • 作業は最初にマニュアスプレッダのフロアコンベアの速度を高め飛散防止のアタッチメントを装着した堆肥堆積運搬車(スター農機、TMS8070、図1)とホイルローダで組作業で、水分調整材と牛ふん尿を堆肥舎へ運搬し、堆肥舎内で運搬した水分調整材と牛ふん尿を列状に混合・堆積し(図1)、3~4週間毎に切り返しを行い約2カ月間堆積する。
  • 水分調整材に戻し堆肥・乾草(リードキャナリーグラス)を使い、堆肥堆積運搬車で攪拌、堆積した堆肥では、いずれの処理でも 堆肥列内部温度が高く(70℃以上)推移し、乾物分解率(0.20~0.54%/day)も大きく推移することから、寒冷地の冬季間であっても、水分を 70%に調整して堆肥堆積運搬車で堆積、切り返しを行うことで良質の堆肥が得られる(表1、図2)。
  • 堆肥堆積運搬車で列状に堆積・切り返しを行った堆肥は、ホイルローダで切り返しを行った堆肥よりも、堆肥列内部温度は高く(70℃以上)、乾物分解率もより大きく(0.32%/day)、より発酵の進んだ状態となる(表1)。
  • 現地農家での堆肥列の設置と切り返しの作業能率はホイルローダが40t/h、堆肥堆積運搬車が39t/hである(表2)。

成果の活用面・留意点

  • スタンチョン式牛舎から排出された生ふんと敷量の混合物の堆肥化に適応可能であるが、フリーストール牛舎から排出される水分の高いふん尿の堆肥化に関しては未検討である。
  • 堆肥堆積運搬車で切り返しを行った後に、堆肥をホイルローダ等で高く積み上げた場合の堆肥の発酵状況は、本成績の堆積状況とは異なる。
  • 本成績では8tのマニュアスプレッダを改造したが、アタッチメントの寸法を変える事で8t以外の積載量のマニュアスプレッダにも取り付け可能である。またアタッチメントの自作による取り付けも可能である。

  • 平成15年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
    「マニュアスプレッダを利用した堆肥の切り返し技術」(普及推進)

具体的データ

図1 堆肥堆積運搬車と堆肥堆積運搬車で堆積した堆肥列

 

表1 各試験区の成績

 

表2 農家での堆肥列設置・切り返し時間

 

図2 戻し堆肥低水分)区 堆肥列内部温度推移

 

その他

  • 研究課題名:寒冷地における冬期高品質堆肥化技術の開発
  • 課題ID:04-05-03-*-04-03
  • 予算区分:委託プロ(バイオリサイクル)
  • 研究期間:2000~2003年度
  • 研究担当者:宮浦寿美・村上則幸・井上慶一