パン用秋まき小麦に対する窒素追肥の各子実タンパク画分への分配
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要約
子実タンパク含有率向上のためのパン用秋まき小麦品種に対する後期窒素追肥は、吸収された窒素が製パン性に重要なグルテニンに対しても均等に分配される。
- キーワード:パン用秋まき小麦、製パン性、窒素追肥、窒素分配、グルテニン
- 担当:北農研・畑作研究部・生産技術研究チーム
- 連絡先:電話0155-62-9274、電子メールnkoga@affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・生産環境
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
小麦の製パン性は子実中のタンパク質量とその組成の影響を受けるため、子実タンパク含有率とともに、各タンパク画分への窒素分配が重要な
意味をもつ。窒素の葉面散布等の後期追肥が高分子のタンパク質(グリアジン、グルテニン)含量に及ぼす影響について明らかにするため、北海道産のパン用秋
まき小麦品種キタノカオリを用いて、施用時期の異なる追肥が製パン性と子実タンパク画分への窒素分配へ及ぼす影響を検討する。
成果の内容・特徴
- 60%製粉中のグルテニン窒素濃度とパン比容積には、高い正の相関があり(図1)、製パン性の向上には、小麦粉中のグルテニン窒素濃度を高めることが重要である。
- 分画された各タンパク画分の15N標識窒素濃度から、生育後期に行う葉面散布等の追肥においても、吸収された窒素はグルテニンやグリアジンなどに均等に分配利用される(表1,図2)。
- 子実中の各タンパク成分間の窒素分配は窒素追肥の時期に大きな影響を受けない(図3)。
成果の活用面・留意点
- 子実タンパク含有率を高める施肥管理法を行うことにより、グルテニン窒素の濃度が高まり、そのタンパク含有率に見合う製パン性を確保できる。
- キタノカオリの具体的な栽培方法については、中央農試、十勝農試、北農研3場共同で提出する平成15年度試験成績「パン用秋まき小麦「キタノカオリ」の良質安定多収栽培法」に従う。
具体的データ
その他
- 研究課題名:秋播コムギ品種系統における窒素吸収・転流特性と蛋白含量
- 課題ID:04-04-03-*-03-03
- 予算区分:21Cプロ1系、ブラニチ1系
- 研究期間:2001~2003年度
- 研究担当者:古賀伸久、辻博之、中野寛