SSRマーカーによるライグラス/フェスク類とフェストロリウム品種の分類
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要約
ペレニアルライグラス及びイタリアンライグラスで開発されたSSRプライマーペアはフェスク類及びフェストロリウム品種・系統でも増幅が
みられ、遺伝解析が可能である。各品種・系統の個体におけるSSRマーカーのバンドの有無からUPGMA法により樹形図が作成でき、ライグラス類/フェス
ク類の分類とフェストロリウムの由来が明らかになる。
- キーワード:飼料作物育種、Lolium属、Festuca属、フェストロリウム、SSRマーカー、樹形図
- 担当:北海道農研・作物開発部・イネ科牧草育種研
- 連絡先:電話011-857-9273、電子メールToshihiko.Yamada@affrc.go.jp
- 区分:北海道・作物、畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
PCRベースの共優性マーカーであるSSRマーカーに関して、ペレニアルライグラス由来SSRマーカー(LPSSR、 Jones et
al. 2001)及びイタリアンライグラス由来SSRマーカー(LMSSR、 Hirata、 Fujimori et al. in
preparation)が開発されている。そこで、これらのSSRマーカーを用いて、ライグラス類、フェスク類及び両者の雑種であるフェストロリウムの
品種・系統について分析を行い、SSRマーカーの有用性やフェストロリウム育種への利用の可能性を検討する。
成果の内容・特徴
- LPSSR及びLMSSRの多くのSSRプライマーペアはライグラス類、フェスク類及びフェストロリウムの品種・系統でDNAの増幅がみられ、利用することができる(表1)。
- 増幅したSSRマーカー中には同一種内のすべての供試個体で同一なバンドをもつ種特異的なものがみられる(図1)。
- 各品種・系統の個体におけるSSRマーカーのバンドの有無のデータからUPGMA法により樹形図を作成することができ、ライグラス類/フェスク類が分類できる(図2)。
- 複二倍体品種・系統である「Prior」、「Bx350」ではペレニアルライグラスとメドウフェスクの中間的な位置を示し、
他のフェストロリウム品種ではイタリアンライグラスに近いもの及びトールフェスクに近いものにそれぞれ群別でき,フェストロリウムの由来が明らかになる。
成果の活用面・留意点
- 種特異的なバンドをもつSSRマーカーはフェストロリウム育種に利用できる。
- ライグラス類由来SSRマーカーのため、ライグラス類の遺伝変異が大きく反映される。
- 今回は44プライマーペアを供試したが、今後、プライマーペア数をさらに増やすとともにEST由来のSSRマーカーの利用の検討が必要である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:メドウフェスク×ペレニアルライグラス属間雑種利用による新型牧草品種の開発
- 課題ID:04-03-04-*-14-03
- 予算区分:21世紀6系、交付金
- 研究期間:2001~2003年度
- 研究担当者:山田敏彦、高井智之、眞田康治
- 発表論文等:Momotaz et al. (in press) Plant Breeding 123.