アルストロメリアにおける色素組成と新規アントシアニンの同定

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

アルストロメリアのブラジリアンハイブリッド品種の花被には、黄赤色を呈する新規アントシアニン(6-ヒドロキシペラルゴニジン3-グル コシド及び6-ヒドロキシペラルゴニジン3-ルチノシド)が存在する。また、アントシアニンを主要色素とする品種は、外花被の花色及び色素組成から4つの グループに類別される。

  • キーワード:アルストロメリア、花色、アントシアニン、色素組成、花き
  • 担当:北農研・作物開発部・野菜花き研究室
  • 連絡先:電話011-857-9304、電子メールxuanwu@affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・作物、花き
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

新花色品種の育成には含有アントシアニンの解析が重要なことから、花被に含まれる未知アントシアニンの単離と同定を行うとともに、アントシアニンを主要色素とする39品種について花色によるグループ分けを行い、花色とアントシアニン組成の関係を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • アルストロメリアのブラジリアンハイブリッド品種花被には、黄赤色を示す2種類の 新規アントシアニン、6-ヒドロキシペラ ルゴニジン3-グルコシド(6-hydoroxypel- argonidin 3-O-(β-D-glucopyranoside))及び6-ヒドロキシペラルゴニジン3-ルチノ シド(6-hydroxypelargonidin 3-O-[6-O-(α-L-rhamnopyranosyl)-β-D-glucopyranoside]) (図1)が存在する。
  • アントシアニンを主要色素とする39品種は、外花被の花色のカラーチャート(RHS.CC) による測定から、赤色、赤紫色、紫色の3つのグループに分けられ、このうち赤色のグ ループは色素組成からさらに2つに分けられる(図2)。 黄色味の強い赤色花の品種は、 主要色素に6-ヒドロキシペラルゴニジン3-ルチノシド及び6-ヒドロキシシアニジ ン3-ルチノシドを持ち、いずれもブ ラジリアンハイブリッド品種である。これ以外の 赤色花の品種は、主要色素がシアニジン3-ルチノシドまたは6-ヒドロキシシアニジ ン3-ルチノシドで ある。また、赤紫色花の品種は、主要色素が6-ヒドロキシデルフ ィニジン3-ルチノシドであり、紫色花の品種は、主要色素がデルフィニジン3-ルチ ノ シドである(表1)。
  • 内花被条斑部の色はいずれの品種でも暗紫色であり、シアニジン3-ルチノシドが主 要色素である(表1)。

成果の活用面・留意点

  • ブラジリアンハイブリッド品種との交雑により6-ヒドロキシペラルゴニジン系色素 の集積を図ることで、従来の品種にはない黄色味の強い赤色の花色を示すアルストロメリアの品種育成に活用することができる。

具体的データ

図1 新規アントシアニンの構造

 

図2 園芸品種の花色の分布

 

表1 花色とアントシアニン組成

 

その他

  • 研究課題名:種間交雑による新花色並びに新規アントシアニンを生成するアルストロメリ アの開発
  • 課題ID:04-03-03-01-05-03
  • 予算区分:委託(組換え植物)
  • 研究期間:2003~2005年度
  • 研究担当者:村田奈芳、篠田浩一、立澤文見(北海道拓殖短大)、斎藤規夫(明治学院大)、 鴫原 淳(星薬科大)、本多利雄(星薬科大)、鈴木亮子(道立花・野菜技術センター)
  • 発表論文等:
    1)Tatsuzawa et al.(2003) Phytochemistry 62:1239-1242.
    2)立澤ら(2003) 園学雑72(3):243-251.