雌穂重割合が高い根釧地域向けサイレージ用トウモロコシ新品種「ぱぴりか(北交62号)」
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
寒地向きサイレージ用トウモロコシの新F1品種「ぱぴりか(北交62号)」は、“早生の早”の熟期で、栽培限界地帯である根釧地域を適地とする。本品種は、初期生育に優れ、多収で、乾物中の雌穂の割合が高く、すす紋病抵抗性が強い。
- キーワード:トウモロコシ、サイレージ、品種、飼料、早生、すす紋病、飼料作物育種
- 担当:北海道農研・作物開発部・トウモロコシ育種研究室
- 連絡先:電話011-857-9317、電子メールkoinuma@affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・作物、畜産草地
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
草地酪農地帯である北海道の根釧地域において飼料自給率の向上を図るためには、雌穂割合の高いトウモロコシの栽培拡大が不可欠である。生育期間中の温度や日射量の制約が大きくトウモロコシの栽培限界地帯となっている根釧地域では、安定して黄熟期刈りの可能な早熟性や初期生育性、重要病害のすす紋病に対する抵抗性などが求められる。しかし、現在、この地域に適する“早生の早”の優良品種の種子供給は停止しており、新たな優良品種が早急に必要とされている。そこで、これらの特性を備えた安定多収品種を育成しようとした。
成果の内容・特徴
- 「北交62号」はフリント種自殖系統「Ho87」を種子親とし、「To85」を花粉親として育成された単交雑一代雑種である。栽培適地の根釧地域において以下の特性を示す。
- 熟期は“早生の早”に属する。絹糸抽出期は同熟期の普及品種「エマ」より2日早く、収穫時の乾物率は「エマ」より高い(表1)。
- 乾物総重は平均で「エマ」より6%高く、乾雌穂重割合は「エマ」より約9%高い(表1、図1、図2)。
- 耐倒伏性は「エマ」並の“やや強”である(表1)。
- 初期生育は“良~極良”で「エマ」より優れる(表1)。
- すす紋病抵抗性は“中” で「エマ」および「ダイヘイゲン」より強い(表2)。
- 雌雄畦比3:1での採種量は25kg/a程度である。採種栽培では花粉親を1週間晩播することにより両親の開花期が合致する。
成果の活用面・留意点
- 適地は北海道の根釧地域に限定する。適地外では耐倒伏性がやや劣る。普及見込み面積は1,500 haである。種子の供給開始は、平成18年度栽培用からの予定である。
- 露地での通常畦幅栽培では、密植するとなびきの発生が多くなるので、栽植密度はアール当たり800~850本程度とする。
具体的データ




その他
- 研究課題名:トウモロコシの高栄養、多収、環境耐性品種の育成
- 課題ID:04-03-04-01-11-04
- 予算区分:交付金
- 研究期間:1998~2004年度
- 研究担当者:濃沼圭一、三浦康男、佐藤 尚、三木一嘉、榎 宏征(北農研)、佐藤尚親、山川政明、澤田嘉昭、
藤井弘毅、牧野 司、林 拓(根釧農試)