耐倒伏性が強く多収な"中生の早"のサイレージ用トウモロコシ新品種「きたちから(北交64号)」

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要約

寒地向きサイレージ用トウモロコシの新F1品種「きたちから(北交64号)」は、“中生の早”の熟期で、北海道の道央北部、十勝中部および網走内陸部の気象条件が良好な地域を適地とする。本品種は、耐倒伏性が強く、多収で、収穫時の乾物率が高い。

  • キーワード:トウモロコシ、品種、飼料、サイレージ、中生、耐倒伏性、飼料作物育種
  • 担当:北海道農研・作物開発部・トウモロコシ育種研究室
  • 連絡先:電話011-857-9317、電子メールkoinuma@affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・作物、畜産草地
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

生育期間中の積算気温が制約される北海道では、地域ごとに黄熟期刈りの可能な熟期別のトウモロコシ優良品種が必要である。北海道の普及品種の大部分は外国導入品種によって占められている。とくに、主要栽培地帯である十勝および網走地域に適する国内育成品種は皆無であり、種子の安定供給が可能な国内育成品種が必要とされていた。そこで、これらの地域での栽培が可能な“中生の早”の耐倒伏性・多収品種を育成しようとした。

成果の内容・特徴

  • 「北交64号」はデント種自殖系統「Ho68」を種子親とし、「GY302」を花粉親として育成された単交雑一代雑種である。
  • 熟期は“中生の早”に属する。絹糸抽出期は同熟期の普及品種「ロイヤルデント90H」より4日遅いが、収穫時の乾物率は「ロイヤルデント90H」よりやや高い(表1)。
  • 「ロイヤルデント90H」に比べ、乾物総重は平均で約6%高く、乾雌穂重割合は約4%低い(表1、表2)。
  • 耐倒伏性は“強~極強”で「ロイヤルデント90H」並である(図1)。
  • 初期生育は“やや良”で「ロイヤルデント90H」並である(表1)。
  • すす紋病抵抗性は“中” で「ロイヤルデント90H」よりやや強く、本病抵抗性の基準品種「キタユタカ」より強い。ごま葉枯病抵抗性は“中”で「ロイヤルデント90H」および「キタユタカ」より強い。黒穂病抵抗性は“やや強”で「ロイヤルデント90H」並である(表1、表3)。
  • 雌雄畦比3:1での採種量は48kg/a程度と極めて多収である。採種栽培では、両親を同時播種して開花期を合致させることができる。

成果の活用面・留意点

  • 北海道の道央北部、十勝中部および網走内陸部の気象条件が良好な地域を適地とし、普及見込み面積は500 haである。種子の供給開始は、平成19年度栽培用からの予定。
  • 密植適性は比較的高いが、栽植密度はアール当たり800~850本程度とする。

具体的データ

表1.「北交64号」の特性概要

図1.「北交64号」の耐倒伏せ性

表2.「北交64号」の場所別の乾物総重

表3.「北交64号」の病害抵抗性

その他

  • 研究課題名:トウモロコシの高栄養、多収、環境耐性品種の育成
  • 課題ID:04-03-04-01-11-04
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1998~2004年度
  • 研究担当者:濃沼圭一、三浦康男、佐藤 尚、三木一嘉、榎 宏征