ソバ及びダッタンソバのルチン含量の簡易測定法

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要約

ソバ粉のルチン含量は1.5 mlチューブを用いた簡易測定法により、また、ダッタンソバ粉のルチン含量は、近赤外分光法により効率的に測定できる。

  • キーワード:ソバ、ダッタンソバ、ルチン、簡易測定法、近赤外分光法
  • 担当:北海道農研・畑作研究部・遺伝資源利用研究室、流通システム研究チーム
  • 連絡先:電話0155-62-9273、電子メールtsuzu@affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・作物、作物・夏畑作物
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

ソバ及びダッタンソバは、血圧降下作用・抗酸化能などの機能性を持つルチンを含む。高機能性そば品種育成のためには、多数の育成系統のルチン含量を把握する必要がある。そこで、品種育成の効率化を図るため、ソバ及びダッタンソバのルチン含量の簡易測定方法を開発する。

成果の内容・特徴

  • ソバ粉 ルチン含量の簡易抽出法
    1)慣行法と簡易法の測定値の間には高い相関関係がある(図1)。
    2)1.5mlチューブに30 mgから80 mgのソバ粉を秤量し、1 mlのリン酸メタノール(0.1%リン酸の90%メタノール溶液)を加
      え、37℃3時間抽出後(途中3回かくはんする)、HPLCで分析する(図2)。
    3)簡易法は1.5 mlチューブを使用するため操作性が良く、また、低温抽出で溶媒の蒸発がほとんど無いためメスアッ
      プを省略でき、作業時間を短縮できる(図2)。
    4)ルチン含量測定値の標準偏差は6.5%(30.0 mg秤量、N=7)、また、ルチンの抽出効率は慣行法の92.7%であり、育成
      系統のルチン含量把握には十分精度が高い。
  • ダッタンソバ粉 ルチン含量の簡易測定法
    1)ダッタンソバ粉40試料を用いて検量線を作成し、それとは異なる20試料で検量線の精度を調査したところ、実測値
      と推定値の間には高い相関関係があり、高精度でルチン含量を推定できる(図3)。
    2)近赤外分光法による測定法は、試料の秤量、抽出、HPLC分析などを省略できるため効率的な測定ができる(図
      4)。
    3)ダッタンソバ粉のルチン含量の測定には 選択波長領域 1100 nm ~ 2498 nmを用いる。

成果の活用面・留意点

  • ソバ及びダッタンソバの育種場面で、ルチン含量の簡易測定に活用できる。
  • ソバ粉のルチン含量はダッタンソバ粉より低いため、近赤外分光法では推定できない。

具体的データ

図1 ソバ粉ルチン含量測定値における慣行法と簡易法との相関関係図2 ソバ粉ルチン含量測定における分析手順・時間の比較

図3 ダッタンソバ粉ルチン含量の実測値と近赤外分光法推定値との相関関係図4 ダッタンソバ粉ルチン含量測定における分析手順・時間の比較

その他

  • 研究課題名:種子蛋白質・機能性成分向上のための品質特性の解明と育種素材の開発
  • 課題ID:04-03-02-02-38-04
  • 予算区分:ブラニチ4系
  • 研究期間:2002~2004年度
  • 研究担当者:鈴木達郎、阿部英幸、本田 裕、六笠裕治