オオモンシロチョウとモンシロチョウの休眠蛹は水に沈み、非休眠蛹は浮く

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要約

オオモンシロチョウとモンシロチョウの休眠蛹は、比重が1より大きく、非休眠蛹は1より小さい。胸部と腹部の境界にある空隙の大きさが比重の差違を決めている。

  • キーワード:オオモンシロチョウ、モンシロチョウ、休眠、蛹、比重
  • 担当:北海道農研・生産環境部・虫害研究室
  • 連絡先:電話011-857-9280、電子メールjkpure47@affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・生産環境、共通基盤・病害虫
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

オオモンシロチョウとモンシロチョウは、北海道において重要なアブラナ科野菜害虫である。両種とも休眠蛹で越冬するので、耐寒性研究には、蛹の休眠・非休眠を識別する必要がある。両種の休眠蛹・非休眠蛹は外観上よく似ているので、野外個体について識別する簡便な方法が必要である。

成果の内容・特徴

  • オオモンシロチョウとモンシロチョウの休眠蛹・非休眠蛹の比重を測定すると、休眠蛹の比重は1より大きく、その結果水に沈み、非休眠蛹では常に1より小さく、浮かぶ(表1)。
  • MRI(核磁気共鳴イメージング)により、蛹体内を観察すると、休眠・非休眠蛹ともに、体内の胸部と腹部の境に空隙がみられ、その大きさが、前者で小さく、後者で大きい(図1)。
  • 2.と同じ方法により、蛹の頭部から尾部に至る横断面画像を1mm間隔で撮影し、空隙が蛹全体に占める割合を、空隙部分とその他の部分との画像を切り抜き、重量を比較することによって近似的に求めた。比重に対して、空隙の体積と全体積との比をプロットすると、良く直線に乗り、比重は空隙の大きさによって決められているものと考えられる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 蛹を水中に入れることにより、簡便に休眠か非休眠かを判別できる。野外から採集した個体を識別するのには有効である。空隙は、成虫における、胸部と腹部の境界にある括れと対応していると考えられる。

具体的データ

表1.モンシロチョウとオオモンシロチョウの休眠蛹と非休眠蛹の比重

表1.モンシロチョウとオオモンシロチョウの休眠蛹と非休眠蛹の比重

図2.オオモンシロチョウの蛹(7日齢)の比重Sg と空隙の体積Vc の全体積Vw に対する割合との関係

 

その他

  • 研究課題名:鱗翅目害虫の寒地適応性機構に関連する生理的特性の解明-耐凍性と非耐凍性
  • 課題ID:04-06-02-*-15-04
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2004~2007年度
  • 研究担当者:金子順一、片桐千仭(北大低温研)