道央の水田転作地帯における大豆子実タンパク含有率の低下とその要因
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要約
北海道の水田転作地帯では、豆腐加工適性低下の原因となる低タンパク大豆の発生が、水田転換後に初めて大豆が作付けされる場合または土壌pHが低い場合に認められる。
- キーワード:転作ダイズ、子実タンパク含有率、ダイズ作付歴、土壌pH
- 担当:北海道農研・総合研究部・大豆研究チーム
- 連絡先:電話0155-62-9274、電子メールnkoga@affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・生産環境
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
北海道の水田転作地帯では、タンパク含有率の低い大豆がしばしば生産される。タンパク含有率の低下やそれに伴うロット間の品質の大きなばらつきは、豆腐の歩留まり低下を引き起こし、均質な豆腐加工の妨げとなるため、子実タンパク含有率の改善、均一化を図る必要がある。これらの地帯で生産される大豆の豆腐加工適性を向上させるため、現地調査を行い、低タンパク大豆が発生する要因を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 道央の水田転作地帯で生産される大豆の中には、子実中のタンパク含有率が低い大豆が存在し(図1)、低タンパク大豆から製造される豆腐の破断応力は著しく低い(図2)。
- 水田転換後の大豆作付け歴の有無は、大豆の葉色や子実タンパク含有率に影響する。子実タンパク含有率の低い大豆は、水田転換後大豆の初作地で生産されたものに多い(図3)。
- 土壌の診断項目(大豆作付け前に採取)のうち、土壌pHが子実タンパク含有率と正の相関をもつ(n=36, r=0.581)(図4)。低pH土壌のpH改善は、子実タンパク含有率の改善につながる。
成果の活用面・留意点
- 豆腐加工適性が高い大豆生産の基礎知見となる。
- 低土壌pHにおける低タンパク大豆発生の理由としては、大豆根面における根粒の着生や発達の抑制、土壌窒素の供給の低下などが考えられる。
- 本調査は、道央の泥炭土壌地帯を対象に実施したものである。
具体的データ




その他
- 研究課題名:寒地における大豆品質の変動要因の解明と品質安定のための栽培管理技術の確立
- 課題ID:04-06-04-*-10-04
- 予算区分:ブラニチ2系
- 研究期間:2003~2005年度
- 研究担当者:古賀伸久、安田道夫、中野 寛