道産大豆の域内流通量の推計

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要約

平成13年産の交付金対象大豆のうち3分の2は道外へ移出され、道内の食品加工業者が原料として使用した道産大豆は1万トン程度であった。また、製品の段階での移出入もあり、道内の消費者が購入した大豆加工食品に含まれている道産大豆の割合(地産地消割合)は、主要5品目の平均で19.2%となる。

  • キーワード:大豆加工食品、域内流通
  • 担当:北海道農研・総合研究部・大豆研究チーム、農村システム研究室
  • 連絡先:電話011-857-9309、電子メールmorisima@affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・総合研究、共通基盤・総合研究
  • 分類:行政・参考

背景・ねらい

現在、食料自給率の向上を目指して、「地産地消」の取り組みが全国的に推進されている。我が国の食料生産基地である北海道では、大豆に関しても100%近い地域自給率を誇っているが、実際に域内で流通・消費されている割合はこれまで把握されていない。そこで、各種統計および関係機関への聴き取り調査により得られたデータを加工し、接続することで、道産大豆の域内流通実態を明らかにし、各加工品目ごとに家庭消費分の「地産地消割合」の推計を行う。

成果の内容・特徴

  • 平成13年に北海道で生産された大豆4万2,800tの大半は交付金対象(72.6%)として販売された。残りは黒大豆(5.8%)や種子大豆(2.7%)のような交付金対象外と自主流通・自家消費分(18.9%)となった。交付金大豆の中でも、ホクレンが集荷し全農に販売委託をしている大豆の4分の3に当たる約2万1千トンは道外へ移出され、道内の食品加工業者が原料として使用した道産大豆は1万トン程度であった(図)。
  • 道産大豆の道内での用途は、豆腐・油揚げの製造が特に多く(39.2%)、次いで味噌への使用割合が高い(28.4%)。道内食品加工メーカーは、主要6品目(豆腐・油揚げ・納豆・醤油・味噌・乾燥大豆)の製造に当たり、必要量を賄うため2万2千トン以上の大豆を道外より移入している。
  • 道内で製造される味噌の使用原料に占める道産大豆の割合は38%になるが、そのほとんどは道内の家庭で消費される豆腐と違って、業務用に回る製品が多く、「地産地消割合」は19.2%である。納豆も、北海道では特に家庭消費量が多い品目であるが、道外メーカーのブランド力が強く、製品段階での移入が多いことから、その「地産地消割合」は5%と低くなっている。
  • 平成14年に全国の家庭で消費された大豆加工食品における国産(交付金)大豆使用割合は、乾燥大豆を除く5品目の平均で17.8%であるが、北海道では道産大豆の使用割合が、この5品目で19.2%と既に全国平均を上回っている。但し、品目によっては全国の値を大幅に下回るものもあり、特に醤油については、業務用の出荷割合が高いことが、道産大豆に限らず丸大豆の使用率の低さに影響していると推察される。

成果の活用面・留意点

  • 道産大豆およびその加工品の「地産地消」を振興する際、生産から消費に至る過程で重点化すべき段階を製品ごとに選び出し、それぞれの事業戦略を立てる基礎データとして活用できる。

具体的データ

表 推計に用いた資料

図 道産大豆の流通過程の推計結果

その他

  • 研究課題名:大豆の狭畦密植遅播き栽培を中軸とした新栽培システムの確立
  • 課題ID:04-01-04-02-04-04
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2002~2005年度
  • 研究担当者:森嶋輝也
  • 発表論文等:森嶋(2004) 研究調査室小論集第4号:40-41