注射接種による小麦赤かび病抵抗性検定法
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要約
開花期の穂に注射接種しスプリンクラーで間断散水することによって、小麦赤かび病抵抗性を高い再現性で検定できる。
- キーワード:小麦赤かび病、抵抗性検定、標準品種、コムギ
- 担当:北海道農研・畑作研究部・麦育種研究室
- 連絡先:電話0155-62-9210、電子メールzenta@affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・作物、作物・冬作物
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
小麦赤かび病は、収穫物が毒素によって汚染されるため大きな問題になっている。これまで北海道の秋まき小麦品種について、赤かび病抵抗性が既知の国内品種と同一条件で検定した報告がないため、開花期の早晩の影響が少ない注射接種によって抵抗性レベルを明らかにする。
成果の内容・特徴
- 赤かび病菌の胞子液(1×105個/ml)を開花期の10穂に注射接種し、5分間隔のスプリンクラー散水を昼夜連続で行い、14日後の発病度を0~9の発病指数で評価する。本法により圃場条件でも再現性の高い赤かび病抵抗性検定が可能である(図1、2)。
- 中国品種の蘇麦3号とその派生系統は、かなり強い抵抗性を示し、蘇麦3号オーストリア系統はその中でも優れている可能性がある(表1)。タクネコムギは、北海道品種の中では最も高い抵抗性を示す(図1)。
- 国内の地域別小麦品種および系統の赤かび病発病度は,九州育成材料が低く、東北育成材料が中程度で、北海道育成材料は高い(表2)。
成果の活用面・留意点
再現性の高い赤かび病抵抗性の評価が可能な注射接種法を赤かび病抵抗性育種に活用する。
具体的データ




その他
- 研究課題名:分子マーカー選抜を利用した小麦赤かび病抵抗性育種素材の開発
- 課題ID:04-03-02-*-32-03
- 予算区分:ブランドニッポン
- 研究期間:2003~2005年度
- 研究担当者:西尾善太、高田兼則、田引 正、伊藤美環子、竹中重仁、桑原達雄、入来規雄、坂 智広
- 発表論文等:Nishio et al. (2004) Breed. Sci. 54(1): 79-84.