フライに適し大粒・多収のばれいしょ新品種「こがね丸(旧系統名 北海90号)」
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要約
ばれいしょ「こがね丸」は、フライ加工に適し、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する。でん粉価が高く大粒・多収で、曝光によるグリコアルカロイド増加が少ない。
- キーワード:ジャガイモ、加工、フライ、ジャガイモシストセンチュウ、グリコアルカロイド
- 担当:北海道農研・畑作研究部・ばれいしょ育種研究室
- 連絡先:電話0155-62-9272、電子メールaohara@affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・作物、作物・夏畑作物
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
国産冷凍ポテトフライは7千t弱の生産量があり、その主要な原料として大粒・多収でフライ加工適性のある「ホッカイコガネ」が北海道内で 1,140ha(H16加工用:統計上の区分、実際は生食・業務用も含む)栽培されている。しかし、この品種は、近年発生が拡大して安定生産を脅かしてい るジャガイモシストセンチュウに対し抵抗性を持たない。一方、平成4年に育成された「ムサマル」は同線虫に抵抗性を持つフライ加工原料用として期待された が、褐色心腐が多いために加工用では9ha(H16)の普及にとどまっている。同線虫抵抗性を持ち大粒・多収でフライ加工適性がある品種が要望されてい る。
成果の内容・特徴
- 「こがね丸」は、多収・低グリコアルカロイドの「ムサマル」を母、調理加工適性全般に優れる「十勝こがね」を父とするジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種間の交配集団から育成され、フライ加工に適する。
- 枯凋期は中晩生で、大粒・多収である。いもの形は楕円で、「ホッカイコガネ」に比べて、でん粉価が高い(表1、2)。
- ジャガイモシストセンチュウに対し抵抗性を持ち、汚染地での栽培では同線虫の密度を低減し、未発生地では汚染の拡大を未然に防ぐ効果がある(図1)。
- フライ適性があり、肉質は「ホッカイコガネ」よりやや粉質の中である(表3)。
- えぐ味の元であるグリコアルカロイドは光にあたることにより増加するが、「こがね丸」ではその増加が少なく、収穫後の品質維持に優れる(表3)。
成果の活用面・留意点
- 「ホッカイコガネ」の加工用の一部に置き換え、北海道の加工原料用ばれいしょ栽培地帯約300haに普及を予定している。
- 「ホッカイコガネ」の煮崩れしない生食用向けの置き換えは困難であるが、業務用一般としては利用可能である。
- 打撲黒変耐性が弱なので、過度の乾燥時や地温10°C以下での収穫は避け、塊茎の移動・選別時には、落下・飛び跳ね箇所を減らし、打撲を与えないように注意する。
- 「ホッカイコガネ」より中心空洞が発生しやすいので、十分な培土を行い、疎植・多肥をさける。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「ばれいしょ新品種候補「こがね丸」」(普及推進)
具体的データ




その他
- 研究課題名: ばれいしょ高品質優良品種の育成
- 課題ID: 04-03-02-03-13-05
- 予算区分: 交付金
- 研究期間: 1995、1997∼2005年度
- 研究担当者: 高田明子、森元幸、小林晃、津田昌吾、高田憲和、梅村芳樹、中尾敬、吉田勉、百田洋二、串田篤彦、植原健人