カラフルポテトの新顔(3)橙黄肉の新品種「インカのひとみ(旧系統名 北海93号)」

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要約

2倍体ばれいしょ「インカのひとみ」は、カロテノイド系色素を含有し、いもの肉色が橙黄色である。表皮は赤色で、目の周りだけが黄色に着色された眼鏡状の様相を呈する。「インカのめざめ」同様、良食味であり、収量性は「インカのめざめ」よりも優れている。

  • キーワード:ジャガイモ、カロテノイド、橙黄肉、2倍体
  • 担当:北海道農研・畑作研究部・ばれいしょ育種研究室
  • 連絡先:電話0155-62-9272、電子メールkobajr@naro.affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・作物、作物・夏畑作物
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

ばれいしょの原産地南米アンデス地方には、カロテノイド系色素を含み、ナッツフレーバーと呼ばれる、独特の風味を持つ良食味の2倍体ば れいしょが存在する。橙黄肉の品種として「インカのめざめ」が育成されているが、極早生で、収量性が低いなどの欠点があり、農業形質を改善した栽培しやす い品種が求められている。 

成果の内容・特徴

  • 「インカのひとみ」は、橙黄肉の2倍体品種「インカのめざめ」の開放受粉種子より選抜された。
  • . 「インカのめざめ」同様、橙黄肉を有しており、カロテノイド系色素の含量が高い(表1、 図1)。また独特のナッツフレーバーを呈する(表3)。
  • いもの表皮は赤く、目の周りだけが黄色い、眼鏡状の特徴的な外観を呈している(表1、 図1)。
  • 枯凋期は中早生で、「インカのめざめ」に比べて、いもの1個重がやや大きく、収量が多い(表2)。
  • 用途は調理用で、でん粉価は「インカのめざめ」より低く「男爵薯」並である(表2)。目が浅いため皮は剥きやすく、水煮での黒変や煮くずれは少ない。食味は上、油加工適性はやや適∼中である(表3)。褐色心腐の発生は微で、その他の生理障害はほとんどない(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 橙黄肉、ナッツフレーバーを生かした調理・加工ができ、特有の外観および肉色から産直販売にも向いている。
  • 種いもを切断して用いると消耗しやすいので、全粒で植えることが望ましい。
  • いもが小さく、普及タイプのハーベスターでは掘り残しが発生するおそれがあるので、ロッド間隔を狭くするなどの調整を行う。
  • 休眠期間が非常に短いため、茎葉の黄変後は速やかに収穫し、収穫後は低温貯蔵する必要がある。
  • ジャガイモシストセンチュウ抵抗性がないため、汚染地での栽培は避ける。
  • 北海道の地域在来品種等として認定されており、十勝地域で種いもの生産が行われ、100haの普及が見込まれる。 

平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分

「ばれいしょ地域在来品種等の特性」 指導参考

 

具体的データ

表1 塊茎の特性

 

表2 生育および収量等の試験成績

 

表3 調理特性

 

図1 インカのひとみの塊茎

 

その他

  • 研究課題名: ばれいしょ高品質優良品種の育成
  • 課題ID: 04-03-02-03-13-05
  • 予算区分: 交付金
  • 研究期間: 1995∼2005年度
  • 研究担当者: 小林 晃、森 元幸、高田明子、津田昌吾、遠藤千絵、高田憲和、梅村芳樹、中尾 敬、吉田 勉