倒伏しにくく美味しいそば新品種「キタノマシュウ(旧系統名 北海6号)」

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要約

有限伸育性そば品種「キタノマシュウ」は、「キタワセソバ」と比較し、耐倒伏性にやや優り、良食味である。

  • キーワード:ソバ、有限伸育性、耐倒伏性、良食味
  • 担当:北海道農研・畑作研究部・遺伝資源利用研究室
  • 連絡先]電話0155-62-9273、電子メールhonday@affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・作物、作物・夏畑作物
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

北海道は国産そばの主産地であり、1989年の4,930haから2005年の16,800haへ飛躍的に作付面積が拡大したが、1989年に育成された 「キタワセソバ」により全道のほぼ9割が占められている。一方、昨今のそばブームもあって製粉・加工等の実需者からは、「キタワセソバ」とは異なる食味の そばを提供したいとの要望やそば特産化を進める自治体からは品種による差別化製品開発の要望が強い。そのため採種体系がない在来種を栽培する地域が増加し ている。こうした状況から実需や生産現場の要望並びに道産そばの安定生産に寄与する新品種の導入が望まれている。

 

成果の内容・特徴

  • 「キタノマシュウ」は「キタワセソバ」集団中に見いだされた伸育性が有限の個体から選抜された有限伸育性系統である(表1)。
  • 生態型は夏型で、開花期及び成熟期は「キタワセソバ」と同程度である(表1)。
  • 草型は夏型特有の直立短枝型で、草丈は「キタワセソバ」より1∼7cm低く、倒伏程度が0.1∼0.8ポイント低く、耐倒伏性にやや優る(表1)。
  • 収量性は、「キタワセソバ」と同程度である(表1)。
  • 千粒重は、「キタワセソバ」並みかやや重く、容積重は「キタワセソバ」よりかなり重い(表1)。
  • 製粉歩留りは「キタワセソバ」にやや優り、製麺試験(操作性)では‘良∼粘る’で「キタワセソバ」に、製麺試験(香り)では‘普通∼やや強い’で、やや優る。食味試験では、味、そばらしさ及び総合評価で有意に優る(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 北海道一円に適する。「キタワセソバ」の一部と在来種に置き換え、200haの普及面積を見込む。
  • 他品種と交雑するので、集団的に隔離栽培する。
  • 多肥もしくは晩播により倒伏しやすくなるので、適正施肥及び適期播種に努める。
  • 「キタワセソバ」並に脱粒するので、適期収穫に努める。

具体的データ

表1 北海6号の特性一覧

その他

  • 研究課題名: 高機能性・高品質そばの優良品種の育成
  • 課題ID: 04-03-02-04-45-05
  • 予算区分: 交付金、ブラニチ4系、ジーンバンク
  • 研究期間: 1995∼2005年度
  • 研究担当者: 本田 裕、六笠裕治、鈴木達郎、我妻正迪、加藤眞次郎、船附稚子、船附秀行、関村 潔