非有機リン系アブラムシ防除用殺虫剤の利用による茎葉処理除草剤ベンタゾン薬害の軽減

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要約

播種時に施用するアブラムシ殺虫剤をエチルチオメトン剤からチアメトキサム剤に替えると、北海道の主要ダイズ品種でもベンタゾン散布による薬害は低下し、かつ高温・強日射等の薬害発生を助長する条件下における散布でも薬害は軽減する。

  • キーワード:除草剤、ダイズ、チアメトキサム、ベンタゾン、薬害
  • 担当:北海道農業研究センター・総合研究部・大豆研究チーム
  • 連絡先:電話0155-62-9275、 電子メールnakanohi@affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・総合研究、共通基盤・総合研究
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

ベンタゾン散布による薬害は、アブラムシの防除を目的に播種時に播き溝施用される有機リン系殺虫剤のエチルチオメトン剤により助長されるが、これを非有 機リン系のチアメトキサム剤等の薬剤に替えることによりベンタゾンの薬害を軽減できることが、昨年、東海地域で見出された。さらに、チアメトキサムが農薬 登録され利用できることになった。これらの成果を、ダイズわい化病媒介昆虫であるジャガイモヒゲナガアブラムシの防除が必須である北海道のダイズ栽培に適 用するために、各種有機リン系殺虫剤使用時のベンタゾン薬害、北海道品種における薬害程度、気象・栽培条件の影響等を検討し、薬害の少ないベンタゾンの使 用条件を提示する。

成果の内容・特徴

  • 播種時に使用される有機リン殺虫剤の中で薬害を助長するのはエチルチオメトンのみであり、ダイアジノンやECP・チウラム剤を使用しても薬害は助長されない(表1)。
  • エチルチオメトンに替えてチアメトキサムを使用することにより、北海道の主要ダイズ品種のいずれについても薬害軽減効果が認められる(表1、図1)。
  • 薬害が発生しやすいためにベンタゾンの使用を避けるべき高温・強日射条件や根系の生育障害があるような場合に散布を行っても、播種時のアブラムシ防除薬剤をエチルチオメトンに替えてチアメトキサムを使用しておくことにより薬害発生は低下する(図2、3)。

成果の活用面・留意点

  • ベンタゾン散布は、高温・強日射条件、根系の生育不良時などの悪条件下には避け、さらにアブラムシ防除薬剤をエチルチオメトンに替えてチアメトキサムを使用することで天候急変時の薬害リスクの低減をはかる。
  • チアメトキサムを使用した場合でも、ベンタゾン散布による薬害には品種間差が認められるため、使用品種における事前の薬害程度の確認が必要である。

具体的データ

表1 ベンタゾン散布による葉身褐変に対する播種時殺虫剤の影響

 

図1 2~3葉期ベンタゾン散布による薬害発生の品種差と播種時殺虫剤の影響

 

図2 ベンタゾン散布時の気温と薬害の関係に及ぼす播種時施用殺虫剤の影響

 

図3 ベンタゾン散布による薬斑発生に対するダイズの生理条件およびに播種時殺虫剤の影響

 

その他

  • 研究課題名: 大豆の密植狭畦遅まき栽培を中軸とした新栽培システムの確立
  • 課題ID: 04-01-04-02-04-04
  • 予算区分: ブランドニッポン
  • 研究期間: 2002∼2005年度
  • 研究担当者: 中野 寛