十勝地域におけるアルファルファ単播草地の永続性実証と購入飼料節減効果
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要約
アルファルファ(AL)「ヒサワカバ」単播草地は、十勝地域で2∼5年間の平均乾物収量800kg/10a以上の高収量を維持でき、早刈利用で粗蛋白(CP)含量17%以上を確保できる。AL導入で購入CP量と購入可消化養分総量(TDN)を減らすことができる。
- キーワード:アルファルファ、単播草地、実証試験、永続性、購入飼料節減
- 担当:北海道農研・総合研究部・総合研究第3チーム、経営管理研究室、畜産草地部・草地生産研究室、畑作研究部・業務科
- 連絡先:電話0155-62-9286、電子メールmatsumu@affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・総合研究・畜産草地、共通基盤・総合研究、畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
高泌乳牛向けの高品質粗飼料生産の増加による飼料自給率の向上と、経営の安定化を図るため、AL単播草地の利用拡大が期待されている。AL栽培の普及を促進するため、AL単播草地の酪農家圃場での生産量、飼料成分、維持年限を確認するとともに、導入による飼料購入量の節減効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 導入する技術体系と目標値は表1の通りである。実証試験の結果、酪農家の実利用条 件で、導入の目標となる維持年
限の4年間を上回る5年目まで、平均乾物収量800kg/10a(坪刈り収量)の確保が可能である。除草剤処理同日播種法により造成し、維持利用年には、
必要に応じてチフェンスルフロンメチル剤処理を年一回以内で行うことにより、利用期間を通じて雑草侵入程度を低く抑えることができる(図1)。
- 造成後6年目にはAL株密度の減少が進み、収量が700kg/10a程度まで低下する(図1)。収量が目標以下まで低下する目安となる株密度は、6年目の株密度20∼25株/m²程度である(図2)。
- 利用5年目の3牧場の刈り取り草丈(圃場内30地点の平均)は、1番草:97cm、2番草:94cm、3番草
65cm、乾物中のCP含量は1番草:19.9%、2番草:17.8%、3番草:18.5%であった。早刈り利用の目安となる草丈90cm程度で利用する
ことにより、飼料成分の目標指標であるCP含量17%以上(流通乾草等級1級)の確保が可能である。
- AL栽培を導入することにより、乳量あたりTDN購入量及びCP購入量を減少させることができる。A牧場の例では、導入前後でほぼ同等の産乳量を維持しつつ、TDN購入量で約20%、CP購入量で約15%の節減となっている(図3)。
成果の活用面・留意点
- 本成果は、試験研究で確立された技術を酪農家に導入して実証されたものであり、普及現場で導入判断の材料として活用できる。
- 本成果は、北海道十勝中部地域で得られたものである。飼料購入量の節減程度は、地域、経営規模、圃場面積およびAL栽培導入面積割合によって異なる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:単播アルファルファ早刈り生産体系の実証
- 課題ID:04-01-06-01-08-05
- 予算区分:交付金
- 研究期間:003∼2005年度
- 研究担当者:松村哲夫、高橋 俊、猿渡孝博、相原克磨、池田哲也、糸川信弘、篠田 満、須藤賢司
- 発表論文等:松村(2005)Dairy Japan 50(5) 36-40