てんさい黒根病抵抗性系統「北海90号」

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要約

「北海90号」は、国際共同研究により育成した単胚・二倍体一代雑種であり、黒根病抵抗性が「強」で耐湿性が「やや強」である。

  • キーワード:テンサイ、一代雑種、黒根病、耐湿性
  • 担当:北海道農研・畑作研究部・てん菜育種研究室
  • 連絡先:電話0155-62-9271、電子メールktaguchi@naro.affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・作物、作物・夏畑作物
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

てんさいの主要病害の一つである黒根病は、近年多発傾向にあり、平成11年および平成12年などの多発年次では道内に約 5000haの被害面積(根腐病等を含む)におよんだ。黒根病は、糖収量の低下や貯蔵中の腐敗の原因となり、罹病した根部が原料裁断時の障害となるなど、 生産現場から製糖過程にわたって大きな被害を及ぼす。
本病は、排水不良畑、連作畑での発生が多く、高温多雨の年次に発生が多いが、効果的な防除対策がほとんどなく、抵抗性品種の投入による対応が不可欠であ るが、未だ抵抗性品種は育成されていない。そこで、北海道農業研究センターでは、黒根病抵抗性品種の育成を進めるため、基準系統の育成を行う。

成果の内容・特徴

  • 「北海90号」は、ドイツのクライワンツレーベン育種会社との国際共同研究により育成した単胚・二倍体一代雑種系統である。
  • 「北海90号」は、葉数が多く、葉面縮が少なく、葉色が濃い特徴を有する(表1)。
  • 糖量は、「カブトマル」よりやや少ないが、不純物価が低く、高品質である(表2)。
  • 黒根病抵抗性が、既存品種にはない”強”である(表3)。
  • 耐湿性が、既存品種で最も高い”やや強”である(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 黒根病抵抗性が”強”であるので、抵抗性の基準系統として利用する。
  • 黒根病の発生状況によっては緊急増殖と販売が必要となるため、品種登録を行う。

具体的データ

表1 特性表(一部抜粋)

 

表2 系統適応性・地域適応性検定試験全道平均累年成績

 

表3 各種特性検定試験成績

 

その他

  • 研究課題名:てんさい病害抵抗性一代雑種品種の育成
  • 課題ID: 04-03-02-*-09-05
  • 予算区分: 交付金
  • 研究期間: 1999∼2005年度
  • 研究担当者: 田口和憲、中司啓二、高橋宙之、岡崎和之、大潟直樹、田中征勝
  • 発表論文等: 田口ら(2004)てん菜研究会報46:14-22