低温条件下でのジャガイモデンプン粕のサイレージ発酵特性
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要約
ジャガイモデンプン粕は乳酸菌が多く、サイレージ調製すると20℃∼25℃下では5∼7日で、5℃下でも50∼60日後にはpH4.0以下となる。低温下においても、サイレージ発酵生成物は乳酸が主体で、他には酢酸が若干生成するのみで安定している。
- キーワード:ジャガイモ、デンプン粕、サイレージ発酵、微生物叢
- 担当:北海道農研・畜産草地部・上席研究官、家畜生理繁殖研究室
- 連絡先:電話011-836-9269、電子メールmmurai@affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・畜産草地、畜産草地
- 分類:技術・ 参考
背景・ねらい
北海道で生産されるジャガイモの40%前後はデンプン製造に使われ、その副産物であるデンプン粕は年間約10万tに達するが、9月
∼11月と寒冷期に向かう季節に限定的に生産される。デンプン粕は、高水分(75∼80%)かつ粘土状で取り扱い性が悪い、腐敗し易い・腐敗すると悪臭が
発生する、等々の理由から、飼料利用も極限られてきた。しかし、家畜のエネルギー飼料としての利用価値は高いと想定され、サイレージ調製等による貯蔵技術
の確立が求められているが、デンプン粕のサイレージ発酵特性については十分に明らかではない。低温条件でのデンプン粕のサイレージ発酵を明らかにして、飼
料資源としての利用技術の確立に資する。
成果の内容・特徴
- ジャガイモデンプン粕の付着微生物叢は、特にサイレージ発酵で重要な乳酸菌数が平均105個cfu/gと高い数値にあり、貯蔵5日後では低温(5℃)下でも常温(20℃∼25℃)並の水準にある(図1)。
- サイレージのpHは、常温では貯蔵5日目には4前後に下り、低温(5℃)貯蔵ではゆっくりと低下して貯蔵50日頃に4以下に達する(図2)。
- サイレージ発酵による乳酸生成では、常温ではサイレージ調製後30日頃に最大値に達する。低温下では70日前後に最大値となり、その濃度は常温の1/2以下である(図3)。
- サイレージ中の揮発性脂肪酸(VFA)は酢酸のみであり、その含量は乳酸より少なく、最大値は常温及び低温貯蔵ともに90日前後に達する。なお、酢酸濃度は低温条件下では、常温下の1/3以下である(図4)。
- 繊維分解酵素添加は、迅速にpHを低下させ、3日以内にpH4以下となり酢酸の生成が多い(図2、4)。
成果の活用面・留意点
- ジャガイモデンプン粕が、良質なサイレージ飼料として地域飼料資源の一つに位置づけられる。
- 他の飼料原料と混合して、サイレージ調製した場合については、別途検討が必要である。
具体的データ




その他
- 研究課題名:新規乳酸菌等によるでん粉粕の調製貯蔵技術の開発
- 課題ID:
04-05-02-*-30-05
- 予算区分:
高度化事業
- 研究期間:
2004∼2006年度
- 研究担当者:
村井 勝、上田靖子、鎌田八郎、秋山典昭、蔡 義民
(畜産草地研)