マメ科植物「シロバナルーピン」の寒地重粘土地への緑肥作物としての導入

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要約

マメ科植物「シロバナルーピン」のいくつかの系統はオホーツク沿岸寒地重粘土地において生育可能で、分枝により繁茂し雑草を抑制するため、緑肥として活用可能である。また強固な茎を持つため、土壌の物理性の改良に役立つと期待される。

  • キーワード:緑肥、ルーピン、重粘土
  • 担当:北海道農研・畑作研究部・紋別試験地
  • 連絡先:電話0158-27-2231、電子メールsyok@affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・生産環境
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

大規模圃場の肥沃度保持や耕地生態系の維持には緑肥の導入が有効であり、オホーツク沿岸の寒地重粘土地帯では有機物の積極的な導入 が望まれる。本研究では窒素固定能を有し、乾物生産力、草型が大きいことなどからマメ科植物のルーピンの導入を試み、寒地用緑肥作物としての生産力を評価 した。

成果の内容・特徴

  • シロバナルーピン(Lupinus albus)、キバナルーピン(Lupinus luteus)を北海道農業研究センター畑作研究部紋別試験地の重粘土圃場にて栽培した結果より、栽培の容易さ、個体乾物収量の観点からシロバナルーピンが適している(表1)。
  • シロバナルーピンの窒素施用量は0.5 kg/10 aで十分である(図1)。
  • シロバナルーピンは重粘土圃場で一般的に出芽の障害となる表面の硬いクラストを割って出芽することが可能で、また重粘緻密な下層土にもクラックを利用して根を発達させ、根粒も自然に着生する(図2)。
  • シロバナルーピンは分枝を繰り返しながら被覆するため、雑草をよく抑制する(図3)。
  • シロバナルーピンは寒地重粘土壌においても生産力が確保され、マメ科であることから省窒素栽培が可能であり雑草をよく抑制し、花期も長いため、緑肥や景観緑肥として有望である。

成果の活用面・留意点

  • 分枝により個体の重心が高くなる傾向にあり、成育中期以降の風雨により倒伏することが多いがその後も成長を続け、緑肥としての利用には大きな障害にはならない。
  • 畑へのすきこみ時は株元や茎が硬いため、ストローチョッパーにより粉砕したのちロータリーによるすきこみを行うことが望ましい。
  • 紋別地方では採種は安定せず皆無の年もあるため、種子は別途調達する必要がある。

具体的データ

表1 シロバナルーピン、キバナルーピンの紋別重年度圃場における乾物収量

 

 

図1 シロバナルーピン4系統の施肥窒素量と個体乾物重

 

 

図2 シロバナルーピン

 

 

図3 シロバナルーピン1602の雑草抑制効果

 

その他

  • 研究課題名: 未利用マメ科植物の緑肥作物としての導入・評価
  • 予算区分: 交付金
  • 研究期間: 2001∼2005年度
  • 研究担当者: 横田 聡、木村正義、中司啓二
  • 発表論文等: 高田・中司 (2003) 農業低温科学研究情報 10:14-17.