近縁係数による糖量に優れたテンサイ組合せ選抜法
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要約
テンサイ育成系統間の交配データベースに基づくプログラムにより、育成系統間の近縁係数を容易に算出できる。算出した近縁係数は、一代雑種の根重および糖量と高い相関を示すことから、糖量に優れるテンサイ組合せの選抜に利用できる。
- キーワード:テンサイ、近縁係数、一代雑種、ヘテロシス、収量、組合せ能力
- 担当:北海道農研・畑作研究部・てん菜育種研究室
- 連絡先:電話0155-62-9271、電子メールktaguchi@naro.affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・作物、作物・夏畑作物
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
テンサイ一代雑種の糖量の組合せ能力評価には、生産力検定試験が不可欠である。しかし、この試験は検定労力が大きく、より効率的な
組合せ能力評価法の開発が望まれている。一代雑種でのヘテロシス効果は両親間の血縁関係と関係が深く、遠縁な組合せほどヘテロシス効果が高い。そのため、
育成系統間の血縁関係が容易に把握できれば、高いヘテロシス効果が期待される組合せ選抜が可能と考えられる。
そこで、育成系統間の血縁関係を容易に把握できるよう、育成系統間の交配データベースを整備し、育成系統間の近縁係数を簡便に算出できる方法を構築す
る。また、近縁係数と糖量との関係を解析し、育成系統間の近縁係数によるテンサイ組合せ選抜法を開発する。
成果の内容・特徴
- 近縁係数の計算プログラム(水田ら、1996)は、推論型コンピュター言語のProlog上で処理され、テンサイの育成親系統1039系統間の近縁係数が算出できる。
- 近縁係数は、根重および根重に根中糖分を乗じた糖量との間に高い負の相関関係が認められる(表1)。
- 花粉親を一定にした交配実験では、近縁係数の増加と糖量との関係は、ほぼ直線的であり、両親間の近縁係数が0.1上がる毎に糖量は「モノホマレ」比で約3%低下する(図1)。
- 三系交配一代雑種では、近縁係数が0.2を越える場合、糖量が「モノホマレ」を越える組合せは少ない(表2)。
成果の活用面・留意点
- テンサイの一代雑種育成における親の組合せ選抜に利用できる。
- 外来遺伝資源などでは、近縁係数が0であっても糖量が低い場合がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:
てんさい一代雑種育成における選抜及び検定方法の開発
- 課題ID:
04-03-02-*-08-05
- 予算区分:
交付金、受託(甘味資源)
- 研究期間:
2005年度
- 研究担当者:
田口和憲、岡崎和之、高橋宙之、中司啓二