寒地向き飼料用トウモロコシ育種母材における茎葉消化性の系統間変異
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要約
寒地向きトウモロコシのF1親自殖系統における茎葉消化性の系統間変異は大きく、酵素法による高消化性分画含量(OCC+Oa)で
は30.4∼48.9%の系統間変異がある。(OCC+Oa)含量に関し、F1と両親平均値との間には正の相関関係がある。F1の(OCC+Oa)含量と
乾雌穂重割合との間には負の相関関係が見られるが、両形質に優れる自殖系統も存在する。
- キーワード:トウモロコシ、茎葉、消化性、自殖系統、飼料作物育種
- 担当:北海道農研・作物開発部・トウモロコシ育種研究室
- 連絡先:電話011-857-9317、電子メールkoinuma@affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・作物、畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
トウモロコシの茎葉消化性には大きな遺伝的差異のあることが知られており、その育種的改良により自給粗飼料の一層の高品質化が期待
される。しかし、寒地向きのエリート自殖系統における茎葉消化性の系統間変異についての情報は少ない。そこで、寒地向き高茎葉消化性品種の開発に資するた
め、優良自殖系統の茎葉消化性に関する系統間変異の大きさやその年次安定性、F1組合せと親系統との関係、茎葉消化性と収量関連形質との関係などを調査
し、有用な育種母材を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 寒地向きF1親自殖系統の茎葉中の高消化性分画(OCC+Oa)含量には30.4∼48.9%の大きな系統間変異がある(表1)。
- 自殖系統において、茎葉中の高消化性分画のうち、細胞内容物(OCC)含量の系統間変異は大きいが、高消化性繊維(Oa)含量の系統間変異は小さい(表1)。
- (OCC+Oa)含量に関し、F1と両親平均値との間には有意な正の相関があり、(OCC+Oa)含量の高い自殖系統を交配親に用いることにより、
(OCC+Oa)含量の高いF1が得られる(図1)。
- F1において、(OCC+Oa)含量と乾雌穂重割合との間に有意な負の相関が認められる。(OCC+Oa)含量の高いF1を選抜する際には乾雌穂重割合に留意する必要がある(図2)。
- Ho99のように、F1の(OCC+Oa)含量と乾雌穂重割合がともに高い自殖系統が存在する(図1、図2、表2)。
成果の活用面・留意点
- 寒地向き高茎葉消化性品種を育成するための基礎的情報となる。
- ここに示した茎葉消化性の系統間変異は、細胞内容物含量の差による部分が大きく、繊維の消化性の差は小さい。
具体的データ




その他
- 研究課題名:寒地向き高茎葉消化性トウモロコシ親系統およびF1品種の育成
- 課題ID:04-08-01-01-22-05
- 予算区分:委託プロ(ブラニチ3系)
- 研究期間:2003~2005年度
- 研究担当者:濃沼圭一、三木一嘉、榎 宏征