麺ほぐし効果のあるポテトパルプ抽出物
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要約
ばれいしょからデンプンを製造するときに副生するポテトパルプをペクチナーゼで処理する。このろ液を乾燥させた抽出物には優れた麺ほぐし効果があり、調理済みの麺類や米飯類など幅広く適用可能である。
- キーワード:ポテトパルプ、ペクチン、ほぐれ剤、麺類
- 担当:北海道農研・畑作研究部・流通システム研究チーム
- 連絡先:電話0155-62-9280、電子メールyujioda@naro.affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・農産利用
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
調理済みの麺類や米飯類を冷蔵保存すると塊になりやすいため、食品メーカーでは乳化剤、増粘多糖類、食用油、加工デンプンなどを主
成分とするほぐれ剤を原料に練りこんだり、茹で麺の表面に塗布したりする。しかし、その効果は不十分で風味や食感に悪影響を及ぼすことが少なくない。本研
究では、デンプン工場で副生するポテトパルプの酵素処理抽出物に優れた麺ほぐし効果があることを見出し、その有効成分を調べた。
成果の内容・特徴
- 乾燥ポテトパルプを蒸留水と混合して固形分20%(w/w)のペースト50gを調製し、121℃、15分間滅菌す
る。これを滅菌水150mlに溶解後、市販ペクチナーゼをポリガラクツロナーゼ活性として100単位を添加する。50℃、24時間反応後、121℃、15
分間処理して酵素を失活させ、布でろ過する。ろ液を凍結乾燥させたポテトパルプ抽出物は、乾燥重量として約5g取得できる。
- ポテトパルプ抽出物の12%(w/w)水溶液1.0mlを茹でた中華麺50gに混ぜてプラスチック製カップに入れる。4℃、20時間保存後、固まった麺をフォークに突き刺して45℃の角度で毎分90回振ると(図1a)、10秒程度でほぐれて(図1b)優れた麺ほぐし効果が認められる(表1)。一方、対照としてグルコース溶液を塗布したものは15分以上経過しても塊のままである。
- ポテトパルプ抽出物に含まれる物質の分子量分布を調べると図2aのようになり、麺ほぐし効果を示すのは、終濃度80%のエタノールで沈殿する高分子物質であった(図2b)。なお、図2a中の大きなピークはグルコースとマルトースによるものであった。
- 高分子物質の大部分はウロン酸とガラクトースで構成されていたことから(表2)、麺ほぐし効果の有効成分はペクチンと考えられる。
成果の活用面・留意点
- 使用するペクチナーゼは、ポリガラクツロナーゼ以外の酵素活性が低い市販の食品用酵素を使用する。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「麺ほぐし効果のあるポテトパルプ抽出物」(研究参考)
具体的データ




その他
- 研究課題名:
乳酸生成糸状菌によるバイオマス発酵基盤技術の開発
- 課題ID:
04-04-04-*-20-05
- 予算区分:
委託プロ(バイオリサイクル)
- 研究期間:
2004∼2006年度
- 研究担当者:
小田有二、波佐康弘(岩手大院)