水田地帯における収穫・乾燥調製受託組織の法人化の目的
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要約
空知地域の水田地帯における収穫・乾燥調製受託組織では法人化を指向する組織が多い。その主な目的は「離農者の農地の受け皿」であり、小規模農家が多い組織では完全共同経営への転換も意識されている。
- キーワード:水田地帯、空知地域、収穫・乾燥調製受託組織、法人化、共同経営
- 担当:北海道農研・総合研究部・経営管理研究室
- 連絡先:電話011-857-9310、電子メールtsuneo@affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・総合研究
- 分類:行政・参考
背景・ねらい
空知地域の水田地帯において収穫・乾燥調製を行う作業受託組織(収穫・乾燥調製受託組織)は、水稲、小麦、大豆等の生産において重
要な役割を果たしているが、離農による構成員減少と高齢化が問題化しており、組織再編が迫られ、運営強化のため法人化を計画するところが多い。そこで、収
穫・乾燥調製受託組織に対するアンケート調査(平成16年12月実施、回収39組織)及び法人化した先進事例の分析から法人化意向の有無、目的を明らかに
する。
成果の内容・特徴
- 法人化の意向をみると「今後法人化が必要」とする組織が50%であり、法人化ずみの組織と合わせると68%となる
(図表略)。さらに構成員の経営規模により組織を類型化すると、法人化を必要とする割合は、構成員規模が小規模農家主の組織<中間規模の組織<大規模農家
主の組織、となる(図1)。
- 法人化の目的・理由(複数回答)は、「離農者の農地の受け皿となるため」が75%と最も多く、ついで「後継者・新規参入者の確保のため」50%、「負債対策」38%である(表1)。組織類型別にみると、各類型とも「離農者の農地の受け皿となるため」の割合が最も高く、とくに中間規模では90%と高い。さらに小規模農家主や中間規模では「後継者・新規参入者の確保のため」も50%を超える。
- 構成員との関係でみた今後の法人の特徴は、「作業受託のみの組織」「完全共同経営の組織」がともに36%と並び、小規模農家主の組織では「完全共同経営」への転換が57%と過半数を占めるのに対し、中間規模や大規模農家主の組織では「作業受託のみ」の割合が高まる(表1)。
- 南空知地域のK村では、平成17年10月現在で村内22の作業受託組織のうち7組織が法人化しており、このうち収穫・乾燥調製受託組織6組織をみると(表2)、
法人化の目的として「離農者の農地の受け皿」を全組織が回答し、これがもっとも大きな目的となっている。また、構成員との関係でみた今後の法人の特徴とし
ては、大規模農家主の組織では「作業受託のみ」であるのに対し、小規模農家主の組織では2組織が完全共同経営に転換する意向である。
- 以上のように、水稲、小麦、大豆等の収穫・乾燥調製受託組織では「離農者の農地の受け皿」を主な目的として法人化が指向されており、小規模農家が主の組織で法人化を指向する場合、完全共同経営への転換を意識する組織も多い。
成果の活用面・留意点
- 新たな経営安定対策下において、空知地域の小規模農家を対象に共同経営法人化を通じて担い手育成を図る等の支援策策定に参考となる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:
寒地大規模水田利用方式の成立条件と作業受託組織の運営管理方策の解明
- 課題ID:
04-01-02-01-06-05
- 予算区分:
交付金
- 研究期間:
2003∼2005年度
- 研究担当者:
仁平恒夫、坂本英美、相原克磨
- 発表論文等:
仁平(2005)大規模水田地域・南空知における法人の増加と特徴.北海道農業研究センター農業経営研究,90.