建設機械装着型切り返し機による加圧型堆肥化処理方式の効果と導入条件
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要約
建設機械装着型切り返し機による加圧型堆肥化処理方式は、水分調整材の節約および投資額抑制の効果がある。この方式は、農業従事者が2人、水分調整材価格が1,000円/m3ならば、経産牛92頭以上140頭未満の場合に導入可能である。
- キーワード:加圧型堆肥化処理方式、家畜ふん尿、水分調整材、労働力、投資
- 担当:北海道農研・北海道農業経営研究チーム
- 連絡先:電話011-857-9260、電子メールseikajouhou@ml.affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・水田・園芸作、北海道農業・畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
北海道農業研究センターでは、セミソリッド状態のふん尿(水分85%前後)の円滑な堆肥化を図るために、多額の投資を要する攪拌・移送機を付設した堆肥化施設に代替するものとして、加圧型堆肥化処理方式を開発した。この方式は、加圧・切り返し機構を装着した建設機械と簡易貯留施設(写真1)からなり、第一に、加圧作業(写真2)によって水分低下を図ることによる水分調整材の節約、第二に、既存の堆肥舎を改造する必要がないため投資額の抑制が期待できる。その一方で、経営内の総労働時間が増加することが考えられる。
そこで、フリーストール牛舎を利用している酪農家を想定し、この方式の効果を明らかにした上で、酪農家の導入条件を水分調整材の節約効果、投資額負担力、労働時間という観点から明らかにする。
成果の内容・特徴
- 加圧型堆肥化処理方式は、堆肥化が困難なセミソリッド状態のふん尿を加圧作業によって水分を5%低下させることができる。すなわち、ふん尿の堆肥化にあたって水分調整材は経産牛1頭当たり13m3節約することが可能となる。また、導入における投資額に関して搬入から堆肥化まで無人で行うことができる攪拌・移送機を付設した堆肥化施設と比較すると、減価償却費は590万円ほど低い。その一方で、作業工程は他の処理方式に比べて1工程(加圧作業)多い(表1)。それゆえ、労働時間は年間1頭あたり1.8時間増加する。
- 加圧型堆肥化処理方式の導入による水分調整材節約効果を見るために、水分調整材の費用節約と追加費用を比較すると(図1)、経産牛130頭規模の酪農家の場合、価格が1,000円/m3(バーク)ならば41万円の節約効果が見られる。
- 水分調整材節約効果、投資可能性、労働残量から加圧型堆肥化処理方式の導入可能性を見ると、水分調整材価格1,000円/m3、乳量水準8,000kg/頭、農業従事者数2人の場合、92頭以上で水分調整材節約効果が現れ、140頭を超えると作業が不能となる(図1)。すなわち、この方式が導入可能となるのは、経産牛92頭以上、140頭未満である。
成果の活用面・留意点
- 加圧・切り返し機構を装着する建設機械に関して、ここでは既存のものを利用することを前提にしているため、これの減価償却費を含めて試算していない。建設機械を所有していない場合は、導入の検討の際にこれの減価償却費を含めて試算する必要がある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:北海道農業の動向解析に基づく技術開発方向の提示と経営類型に応じた経営継承・経営戦略・経営支援システムの策定
- 課題ID:211-a
- 予算区分:競争的資金(高度化事業)
- 研究期間:2004~2006年度
- 研究担当者:藤田直聡