バレイショの早期培土による深植え栽培での塊茎分布特性

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要約

早期培土による深植え栽培では、種いも位置から高位の節まではしご状にやや短いストロンが発生し、高位節の塊茎まで肥大する。塊茎分布は、培土内で底面積が小さく高さのある立体的な配置をする。

  • キーワード:ジャガイモ、バレイショ、早期培土、慣行培土、塊茎分布、ストロン
  • 担当:北海道農研・バレイショ栽培技術研究チーム、寒地地域特産研究チーム
  • 連絡先:電話011-857-9260、電子メールseikajouhou@ml.affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・畑作、作物
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

土塊や石礫を除去して高畦成形した播種床に植付るソイルコンデショニングや植付から萌芽前の間に砕土装置付培土機などで早期培土を行う栽培体系が、収穫作業の省力化と規格歩留り向上や打撲などの低減を目的として導入されつつある。これらの栽培体系は、種いもの植付位置がいずれも約15cmの深さから萌芽することになる。慣行栽培では、種いもの植付位置が5cm程度の深さで萌芽させた後に培土を行う。そこで両栽培法を比較し、先端が肥大して塊茎となるストロンの着生分布や培土内での塊茎分布を解析し、栽培法確立の基礎情報とする。

成果の内容・特徴

  • 主茎の地下部でのストロン発生位置は、慣行培土が種いもに近い部位から密に発生するのに対し、早期培土では種いも位置からはしご状に発生する(図1)。
  • ストロン長の平均は、早期培土が慣行培土に比べ有意に短い。しかしストロンの数は、両培土法で顕著な差はない(表1)。
  • ストロンの発生する節は種いもから地上に向かって配置し、慣行培土では4節でストロンの発生がほとんど見られなくなる。これに対し早期培土ではより高位の節までストロンが発生し、高位の節まで塊茎が肥大する(図2)。
  • 培土内での塊茎分布は、慣行培土では平面に分布するのに対し、早期培土では縦に広がり立体的に分布するが、体積には有意な差を認めない(表1、図3)。

成果の活用面・留意点

  • 浴光育芽を行った全粒種いもを用い、播種後1週間以内に砕土装置付培土機による早期培土を行った条件での結果である。
  • 播種後の種いも位置温度が10°Cより低下することが少ない生育条件であり、乾性火山灰土ほ場における結果である。
  • 早期培土による深植え栽培に対する塊茎分布は、品種により反応程度が異なる。

具体的データ

図1 ストロンの着生分布(さやか)

図3 「男爵薯」の塊茎分布域

表1 培土の違いによる株当りのストロン長と数および塊茎分布域

図2 ストロン発生率、着生いも平均一個重と着生節の関係(さやか、2005年、芽室)

その他

  • 研究課題名:病虫害複合抵抗性品種を中核とした新栽培体系による馬鈴しょ良質・低コスト生産技術の開発
  • 課題ID:211-e
  • 予算区分:輪作プロ
  • 研究期間:2005~2006年度
  • 研究担当者:森元幸、向島信洋、津田昌吾、高田明子(作物研)、小林晃