短草・多回利用メドウフェスク生草のTDN含量の推定式

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要約

短草多回利用メドウフェスク生草のTDN含量はNRCの推定式や酵素分析画分による推定式(OCW式)で推定すると過小評価となる。生草のTDN含量を酸性デタージェントリグニンまたは低消化性繊維から推定するとより実測値に近い値となる。

  • キーワード:集約放牧、生草、TDN推定式、メドウフェスク
  • 担当:北海道農研・自給飼料酪農研究チーム
  • 連絡先:電話011-857-9260、電子メールseikajouhou@ml.affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・畜産草地、畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

集約放牧牛の適正栄養管理を行うためには、放牧草のTDN含量を精緻に推定することが不可欠である。現在の粗飼料分析サービスでは、表1に示した可消化成分の加算によるアメリカの乳牛飼養標準2001版の推定式(NRC式)あるいは酵素分析画分に基づく推定式(OCW式)を用いて、TDN含量を推定している。これらの式はイネ科主体の乾草やサイレージ向けで、短草利用する集約放牧草を対象としたTDN含量の推定式は現在のところない。そこで、短草多回刈メドウフェスク生草のTDN含量に対するNRC式あるいはOCW式の推定精度を検証し、放牧草に適したTDN含量の推定式を開発する。

成果の内容・特徴

  • 平均刈取間隔17日で維持管理したメドウフェスク主体草地から収穫した生草(平均草丈30.1±6.5cm、n=28、CP含量:20.9~30.2%、NDF:34.1~47.8%)をめん羊(延べ供試頭数158頭)に給与し全糞採取法で査定したTDN実測値(67~80%)とNRC式からの推定値を比較すると、TDN含量が68%以上の場合、過小評価する。また、OCW式からの推定値では、いずれの生草も過小評価する(図1)。
  • メドウフェスク生草のTDN含量は酸性デタージェントリグニン(ADL)や低消化性繊維(Ob)または細胞内容物質の有機物部分(OCC)+高消化性繊維(Oa)との相関が高いが、粗脂肪(EE)や粗タンパク質(CP)含量との相関は低い(表2)。
  • メドウフェスク生草のTDN含量は繊維成分(NDF、ADF、セルロース)消化率やCP消化率と高い相関があるが、EE消化率とは相関は認められない(表2)。
  • 短草多回刈りしたメドウフェスク生草のTDN含量は、TDN=-6.1ADL+87.3(R2=0.82、ADL:1.2~3.4%)、あるいは、TDN=-0.7Ob+92.3(R2=0.78、Ob:16.7~33.5%)、TDN=0.7(OCC+Oa)+26.3(R2=0.77、OCC+Oa:57.1~72.4%)の式のいずれかを用いて推定できる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 飼料分析サービスにおける放牧草中のTDN含量の正確な推定に活用できる。
  • 本成績のTDN含量の実測値は収穫機(プロットハーベスタ)で刈取管理した草地(設定刈取草高5cm)から得られた数値 である。

具体的データ

表1.検証した2種類のTDN推定式

図1 メドウフェスク生草のTDN含量の実測値と推定値の関係

表2 . TD N含量と飼料成分含量および成分消化率との相関係

図2.メドウフェスク生草のADLおよびOb含量とTDN含量の関係

その他

  • 研究課題名:地域条件を活かした健全な家畜飼養のための放牧技術の開発
  • 課題ID:212-d
  • 予算区分:集約放牧
  • 研究期間:2004~2006年度
  • 研究担当者:大下友子、青木康浩、秋山典昭、宮地慎