自殖性ソバの温湯除雄法
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
自殖性ソバの温湯除雄法を開発した。処理温度は42℃、処理時間は5分間で、交配の前日に最頂花房の蕾を温湯に浸漬し、翌朝に開花した花に人工授粉を行う。
背景・ねらい
近年、近縁野生種Fagopyrum homotropicum由来の自殖因子を持つ自殖性ソバの育成が、日本やカナダを中心に進められている。自殖性ソバを母本とする交配では、開花前の蕾からピンセットで葯を取り除く除雄操作を行うが、蕾が小さいため、細かな作業と多大な労力・時間を要する。一方、従来の他殖性ソバは自家不和合性であり、交配に際して除雄操作が不要であるため、これまでソバの除雄法に関する研究は全く行われていない。自殖性ソバの育種を効率的に推進するためには、簡易な除雄法の開発が不可欠である。
成果の内容・特徴
- 温湯処理は、翌日に開花する蕾を含む最頂花房を、恒温水槽に浸漬して行う。交配は、処理翌朝に開花した花を用いる。
- 39℃・10分間、40℃・7.5分間、41℃・5分間、42~44℃・2.5分間以上の温湯処理により、自殖での結実率がほぼ0%となる(図1)。
- 41~43℃・5分間の温湯処理では、人工授粉により、自殖とほぼ同等の高い結実率が得られる(表1)。
- 以上の温湯処理・人工授粉により、ほぼ確実に雑種が得られる(表2)。
- 42℃・5分間の温湯処理は、多くの系統に対しても適用性があり(表3)、自殖性ソバの除雄法として実用性が高い。
成果の活用面・留意点
- 自殖性ソバの系統間交配に利用できる。
- 人工授粉は、媒介昆虫の侵入しない温室等で行う。
具体的データ




その他
- 研究課題名:寒地における地域特産作物の優良品種の育成及び利用技術の開発
- 課題ID:311-f
- 予算区分:加工プロ
- 研究期間:2006年度
- 研究担当者:六笠裕治、鈴木達郎、本田裕
- 発表論文等:六笠裕治ら(2006)自殖性ソバの温湯除雄法、育種学研究8(4), 177-181.