サイレージ用トウモロコシ一代雑種の新親品種自殖系統「Ho95」

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要約

サイレージ用トウモロコシの親自殖系統「Ho95」(エイチオーキュウジュウゴ)は、晩生のフリント種で、初期生育、すす紋病抵抗性、ごま葉枯病抵抗性および耐倒伏性に優れ、デント種との組合せ能力が高く、一代雑種品種の親系統として利用できる。

  • キーワード:トウモロコシ、自殖系統、晩生、フリント、耐倒伏性、すす紋病、飼料作物育種
  • 担当:北海道農研・寒地飼料作物育種研究チーム、長野県中信農試・畑作育種部
  • 連絡先:電話011-857-9260、電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・畜産草地、畜産草地
  • 分類:研究・普及

背景・ねらい

わが国の栽培環境への適応性の高いトウモロコシの優良F1品種を育成するためには、優秀な親自殖系統の育成が不可欠である。生育期間中の積算気温が制約される北海道では地域ごとに黄熟期刈りの可能な熟期別の優良品種が必要であり、晩生品種の親系統については病害抵抗性や耐倒伏性に優れ、組合せ能力の高い系統が求められている。そこで、これらの特性に優れるフリント種の晩生自殖系統を育成する。

 

成果の内容・特徴

  • カリビア型フリント種改良集団「94GPHA」を母材とし、病害抵抗性、耐倒伏性、雌穂特性などについての選抜と自殖により育成した自殖系統である。
  • 早晩性は“晩生”に属する(表1)。
  • 初期生育は“良”、稈長は高いが着雌穂高は平均的で、稈径はやや細い(表1)。雄穂長はやや長く、枝梗数は平均的である。雌穂は粒列数が平均13.3列で(表1)、円錐型である。子実は淡黄色で丸形である。
  • 採種性は、放任受粉下での採種量が実収量で28.2 kg/aとやや低いが、花粉親としては実用的な水準にある。花粉飛散程度は“良”である(表1)。
  • すす紋病抵抗性、ごま葉枯病抵抗性および黒穂病抵抗性は、いずれも“やや強”である。耐倒伏性は“強”である(表2)。
  • 本系統とデント種自殖系統との交配による単交雑F1組合せの平均乾物収量は、同熟期の普及品種に近い水準にあり、デント種との組合せ能力は高い(表3)。本系統を花粉親に用いて育成された単交雑F1系統「北交65号」は、普及品種「35G86」並の熟期で、「35G86」と比較して乾物収量はやや低いが、TDN含量が高く、初期生育、耐倒伏性、すす紋病抵抗性等に優れる(表3)。

成果の活用面・留意点

  • サイレージ用トウモロコシF1品種の親系統として利用できる。
  • 採種性は高くないので、花粉親として利用する。

具体的データ

表1. 「Ho95」の一般生育特性と採種性

 

表2. 「Ho95」の耐病性および耐倒伏性

 

図1 「Ho95」の草姿

 

表3. 「Ho95」を片親とする単交雑一代雑種の特性 1,2)

 

その他

  • 研究課題名:大規模草地・飼料畑の活用のための高TDN飼料作物品種の育成
  • 課題ID:212-c
  • 予算区分:基盤、委託プロ(えさプロ)
  • 研究期間:1994~2007年度
  • 研究担当者:濃沼圭一、三浦康男、三木一嘉、榎宏征、佐藤尚、斎藤修平、高宮泰宏(北海道農研)、西牧清、重盛勲、三木一嘉、前島秀和(長野中信農試)