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十勝大規模畑作経営では、てん菜褐斑病抵抗性品種やばれいしょそうか病抵抗性品種に対するニーズが強く、小麦では低収地域に適した品種、また豆類では高収量・安定した収量の品種や高水分でも可能な汎用コンバイン収穫技術が望まれている。
畑作経営の高齢化や離農が進行するなかで、十勝中央部では50ha規模の家族経営が出現し、さらに周辺部・山麓部では100ha を超える超大型の雇用型法人経営が見られるようになった。今後、地域の担い手としてこうした経営の展開が期待されるが、効率的かつ安定的な経営体の実現に は、経営規模にマッチした技術の開発が求められる。本研究では、AHP(階層分析法)を適用して十勝大規模畑作経営における技術開発ニーズを明らかにし、 今後の技術開発の方向性を提示する。
1)てん菜では、防除回数減少による省力化、低コスト化の期待から「褐斑病抵抗性品種」開発へのニーズが大きい。また直播 は省力化の効果が認識されつつも、気候条件の不利なB経営やC経営では風霜害による収量リスクへの不安が大きく、「育苗ポットの軽量化」など移植での省力 化の方が望まれている。
2)ばれいしょでは、そうか病が収益性の低下だけでなく、選別作業の負担増、収穫の効率低下に直結することから、 「そうか病抵抗性品種」の開発に対するニーズが大きい。また同じような理由で、「歩留まり向上のための栽培技術」や「打撲損傷の少ない高速ハーベスタ」へ のニーズも大きい。
3)小麦については、気候条件の不利な圃場も抱えるA経営、およびC経営で「低収地域に適した品種」の開発が望まれている。また、収量や品質に関連して天候リスクに対応しうる「施肥技術の改善」が望まれている。
4)豆類では「高収量・安定した収量の品種」の開発に対するニーズが大きい。また、収穫に関わって「高水分時でも可能」な「汎用コンバイン収穫技術」の開発が望まれている。これは収穫時期における降雨が汚粒、色流れを発生させ、同時に作付拡大も制約しているためである。