大型トラクタを用いたアルファルファ品種の耐踏圧性評価

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要約

アルファルファ品種の耐踏圧性は、刈取後4日目から3日間、大型トラクタで毎日2往復踏圧を行い、播種翌年の無処理区に対する処理区の乾物収量比で評価する。耐踏圧性はAmeristand403Tが強、ハルワカバが中、マキワカバが弱である。

  • キーワード:アルファルファ、耐踏圧性、品種間差異
  • 担当:北海道農研・寒地飼料作物育種研究チーム
  • 連絡先:電話011-857-9260、電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・畜産草地、畜産草地
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

アルファルファは他草種に比べて農業機械による車輪踏圧に弱く、踏圧損傷による株の衰退や枯死が起こり、裸地化して雑草が侵入す るため収量の大幅減や飼料成分の低下が起きる。アルファルファ草地の踏圧損傷については、道立畜試でその軽減策について研究が行われている。しかし、品種 間の耐踏圧性の強弱については不明である。そこで、大型トラクタを用いて北海道向け品種の耐踏圧性を評価する。

成果の内容・特徴

  • アルファルファ品種の耐踏圧性の指標には、年間乾物収量の無処理区に対する踏圧処理区比を用いる。耐踏圧性の評価に関する試験設計の概要は表1のとおりである。
  • 踏圧1日1往復処理では、播種翌年(2年目)には有意な品種間差異が見られるが、3年目と2年間合計においては有意な差はない(表2)。
  • 踏圧1日2往復処理区では、2年目、3年目、2年間合計のいずれにも有意な品種間差異が見られる(表2)。2往復処理2年間合計の結果から耐踏圧性を判定すると、米国で育成された耐踏圧性品種Ameristand403Tは他の8品種よりも強く、Attention、ハルワカバおよびケレスがマキワカバとMayaより強い(表2)。
  • 2往復処理2年間合計と2往復処理2年目および2往復処理3年目の結果にはそれぞれρ=0.883**およびρ=0.933**の高い相関がある(表3)。一方、2往復処理2年間合計と1往復処理2年目にはρ=0.783*の相関が見られるが、1往復処理3年目との間には有意な関係がない(表3)。
  • 以上より、アルファルファの耐踏圧性は2往復処理の2年目の結果から判定が可能であり、この場合もAmeristand403Tが強、ハルワカバは中、マキワカバは弱である。

成果の活用面・留意点

  • 今後育成あるいは導入する品種の耐踏圧性の評価に利用できる。
  • 条播栽培で特性を評価したものであり、散播または混播には適用されない。これらについては今後の検討課題である。
  • トラクタ踏圧による減収の程度は刈取時の生育ステージや圃場条件などにより変動する。

具体的データ

表1 試験区の設計概要

 

表2 無処理区に対する踏圧処理区の年間乾物収量比(%)

 

表3 踏圧処理の年次間および処理間の相関関係

その他

  • 研究課題名:大規模草地・飼料畑の活用のための高TDN飼料作物品種の育成
  • 課題ID:212-c
  • 予算区分:えさプロ、基盤研究費
  • 研究期間:2005~2007年度
  • 研究担当者:廣井清貞、奥村健治、高田寛之