水煮適性が高く調理しやすい多収ばれいしょ新品種候補「北海97号」
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要約
いもは長卵形で目が浅く、剥皮効率が優れる。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有し、水煮適性が高く中早生で多収の調理用系統である。
- キーワード:ばれいしょ、ジャガイモ、剥皮、多収、ジャガイモシストセンチュウ、水煮
- 担当:北海道農研・バレイショ栽培技術研究チーム、寒地地域特産研究チーム
- 代表連絡先:電話011-857-9260、電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・畑作、作物
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
一般家庭での青果用ばれいしょの購入および消費量は近年、減少傾向である。また、既存の罹病性品種の栽培を通して、ジャガイモシストセンチュウの汚染面積は拡大の一途をたどっている。このような中、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有し、品質面においては消費拡大に繋がるような品種が待ち望まれている。一般家庭での調理は煮物調理が多く、これに適するために煮崩れと変色の少ないジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の育成を目的とする。
成果の内容・特徴
- 外観と食味の優れる「メイホウ」を母、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する「十勝こがね」を父とする交配集団から選抜・育成された系統である。
- 中早生の枯ちょう期で、規格内いも重において「男爵薯」および「メークイン」より多収である(表1)。また、いもが長卵形で、目が浅く、二次生長の発生も少ないので、外観特性が優れる(図・表2)。
- ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有するので、汚染地での栽培では同線虫の密度を低減し、未発生地では汚染の拡大を未然に防ぐ効果がある(表2)。
- 同じ剥皮歩合で比較すると既存品種よりトリミング数が少なく、剥皮歩留りが高くなり棄却する重量が少なくなることから、作業効率の向上や残渣廃棄物の減少が図られる(表2)。
- 水煮時の肉色は淡黄で調理後黒変や煮崩れが少なく、肉質は「メークイン」同様の“やや粘”で、食味の評価は「男爵薯」並みであり、総合的に水煮適性が高い(表3)。
成果の活用面・留意点
- 北海道のばれいしょ栽培地帯に「男爵薯」の一部置き換えとして500haの普及を予定している。
- 市場販売用のみならず、業務用としての利用も見込まれる。
- 目数が少なく、萌芽の揃いや初期生育がやや劣り、その後の生育むらを生じやすいため、種いもの管理および植付に際しては浴光育芽や芽の脱落防止等の適正な管理に努める。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「ばれいしょ新品種候補「北海97号」」(普及推進)
具体的データ




その他
- 研究課題名:病虫害複合抵抗性品種を中核とした新栽培体系による馬鈴しょ良質・低コスト生産技術の開発
- 課題ID:211-e
- 予算区分:基盤
- 研究期間:1994年、1999~2008年度
- 研究担当者:津田昌吾、小林晃、向島信洋、森元幸、高田明子、石橋祐二(長崎県総農林試)、
茶谷正孝(長崎県総農林試)、百田洋二、串田篤彦、植原健人