短節間かぼちゃ「TC2A」の根系発達と窒素吸収特性
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
短節間かぼちゃ「TC2A」はつるの伸長が遅いが,根系は生育初期から旺盛に発達し、つるより先にマルチ外に達する。マルチ外に分施した窒素の吸収は施用後速やかに始まり、7月中旬以降に地上部の窒素含有量は低下するのに対して、分施した窒素の利用率はその後も高まる。
- キーワード:短節間かぼちゃ、TC2A、窒素、分施、根系発達
- 担当:北海道農研・北海道水田輪作研究チーム
- 代表連絡先:電話011-857-9260、電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・水田・園芸作、共通基盤・総合研究
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
短節間かぼちゃ「TC2A」(「ほっとけ栗たん」)は、株元の節間が短い特性を持ち、生育初期の草型は通常型の品種と大きく異なるため、窒素を分施する適正な時期を判断しにくい。また、通常型の品種の2倍から3倍の密植栽培を行うことから、初期生育が旺盛となり、窒素吸収パターンは通常型の品種とは異なると考えられる。そこで、「TC2A」の根系発達と窒素吸収特性を通常型の品種「えびす」、「雪化粧」と比較検討し、窒素の吸収特性を明らかにすることで,本品種の窒素分施の適期とされている,着蕾期から開花始期が妥当であることを確認する。
成果の内容・特徴
- 「TC2A」は、茎(つる)の伸長が通常型の品種に比べて遅いが、根系の発達は通常型の品種に比べて旺盛で、つるがマルチの外に伸び出す以前に、根はマルチの外側に達している(表1)
- 「TC2A」(セル苗定植、大苗定植とも)の窒素吸収は通常型の品種「雪化粧」に比べて生育初期に旺盛であり、「TC2A」の地上部窒素含有量は、定植後7週目の7月中旬(結果始期)には13kg/10aに達し(図1) 、その後、収穫期には地上部窒素含有量が低下する。
- 開花始期にマルチ外縁部に分施した重窒素の吸収は、施用後速やかに始まり、その利用率は7月中旬(結果始期)以降も高まる(表2)。
- 「TC2A」の果実収量は、分施窒素の施用時期をつるの伸び始め(開花始期)と、マルチの外までつるが伸びた後(結果始期)のどちらにしても有意差は生じないが(図2)、窒素吸収パターンと作業のしやすさを考慮すると、分施窒素の施用時期は着蕾期から開花始期すなわち、つるの伸び始めに行ったほうが適当である。
成果の活用面・留意点
- 短節間かぼちゃ「TC2A」の窒素の吸収特性と生育期に分施した窒素利用を明らかにし、それらから追肥時期を生育期と外見上の目安で示した情報である。
- 肥料の総施用量および分施の有無については地域で定められた標準に従う.
具体的データ




その他
- 研究課題名:北海道地域における高生産性水田輪作システムの確立
- 中課題整理番号:211k.1
- 予算区分:交付金プロ(北海道水稲・野菜営農)
- 研究期間:2007~2009年度
- 研究担当者:辻 博之、大下泰生