酪農経営における委託生産イアコーンサイレージの導入条件の事前評価
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要約
配合飼料価格が現行の55円/kgの場合、現在開発中のイアコーンサイレージの導入は、受入価格が49.7円/kg以下の時に所得を上昇させる。配合飼料価格が60.1円/kgを超過すると、イアコーンサイレージの受入価格が55円/kgにおいても所得は上昇する。
背景・ねらい
2008年に配合飼料の原料となるとうもろこし等の濃厚飼料価格が、かつてないほど急騰したが、こうした不安定な条件のもとで、今後も酪農経営を継続させるためには、自給飼料のみならず、濃厚飼料も国産による供給が必要である。その濃厚飼料資源として、イアコーンサイレージ(とうもろこしの雌穂サイレージ)が有望であり、畑作経営への栽培委託(耕起、播種および収穫調製等、実際の作業は支援組織への委託)を念頭に、現在、実用技術開発事業として自給飼料酪農研究チームを中心に開発中である。これが、導入されるためには、畑作経営で目標となる生産費や目安となる酪農経営での受入価格の提示が必要となる。
成果の内容・特徴
- 経営計画モデルでは、地代、コントラクタ委託料金等は、イアコーンサイレージ受入価格(以下、受入価格とする)に反映するものとする。その他、経営計画モデルによるシミュレーションの前提条件を表1に示す。また、ここではイアコーンサイレージを導入しない購入濃厚飼料多給による飼養を「慣行」とする。
- 配合飼料価格が現行の55円/kgの場合、イアコーンサイレージの受入価格が55円/kgならば、所得は216千円減少する(表2)。イアコーンサイレージの受入価格が49.7円/kg以下となると、イアコーンサイレージを導入した方が所得は増加するようになる。したがって、受入価格は49.7円/kg以下が望ましい(図1)。
- 受入価格を55円/kgとし、配合飼料価格を変化させてイアコーンサイレージ導入の場合と慣行とを比較すると、配合飼料価格の上昇に伴い所得差が縮まり、60.1円/kgで双方の値が同じとなる。さらに、配合飼料がこの価格を超過して高騰すると、イアコーンサイレージを導入する方が所得が高くなる(図2)。
成果の活用面・留意点
- イアコーン栽培受委託が成立するための、畑作経営における低コスト化の目標となる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:北海道農業の動向解析に基づく技術開発方向の提示と経営類型に応じた経営継承・経営戦略・経営支援システムの策定
- 中課題整理番号:211a.1
- 予算区分:実用技術
- 研究期間:2009年度
- 研究担当者:藤田直聡、久保田哲史