人為突然変異によって得られた半矮性ダッタンソバの遺伝子座および収量性
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要約
人為突然変異に由来するダッタンソバの半矮性系統に劣性ホモで発現する2つの遺伝子座sdA、sdBが関与している。sdAとsdBともに耐倒伏性を示すが、sdAの方が収量性に優れ、育種素材として有望である。
背景・ねらい
ダッタンソバはルチン含量や抗酸化能が高い等、健康機能性に優れており、食品素材としての利用が増えつつある。しかし、ダッタンソバは草丈が高いため倒伏しやすい欠点があり、耐倒伏性の付与は重要な育種目標である。農業生物資源研究所放射線育種場では耐倒伏性を有する半矮性変異系統を数点育成している。これらは既存の遺伝資源には見出されておらず新規形質である。これらの有用性を評価するためには遺伝および収量性を明らかにする必要がある。
成果の内容・特徴
- Χ2検定の結果によると、原品種と半矮性系統の交配F2世代の分離は3:1に適合しており、半矮性は単一の劣性遺伝子に支配されている(表1)。
- 片側ダイアレル交配により得られた交配F1の草型から、半矮性系統はIRBFT-6、20、45内の交配F1は半矮性、同様にIRBFT-38、63、67、77内の交配F1は半矮性である。したがって半矮性系統は2群に分けることができ、かつ群間の交配F1は野生型であることから、2つの遺伝子座sdA、sdBが関与する(図1)。
- 半矮性系統の草丈は「北海T8号」の1/3~1/4で、全ての半矮性系統の茎は「北海T8号」より太く耐倒伏性である(表2)。
- 子実重はIRBFT-6、20、45 (sdA) の群がIRBFT-38、63、67、77 (sdB) の群よりも優れる(表2)。
成果の活用面・留意点
- 半矮性系統の最適な栽培法は未確立である。
- sdAとsdBの相加効果は確認していない。
- 半矮性系統の入手は農業生物資源研究所ジーンバンクあるいは放射線育種場に問い合わせる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:寒地における地域特産作物の優良品種の育成及び利用技術の開発
- 中課題整理番号:311f.1
- 予算区分:基盤
- 研究期間:2009年度
- 研究担当者:森下敏和、六笠裕治、鈴木達郎、清水明美(生物研)