非選択性除草剤畦間株間処理によるダイズ狭畦栽培の雑草防除
要約
ダイズの条間45cmの狭畦栽培において、ダイズ生育期に生残するタニソバ等の雑草は、飛散防止アタッチメントを使用した非選択性除草剤の畦間株間処理でダイズの収量に影響することなく防除が可能である。
- キーワード:ダイズ、狭畦栽培、雑草防除、畦間株間処理、非選択性除草剤
- 担当:業務需要畑野菜作・寒地畑野菜輪作
- 代表連絡先:電話 011-857-9260
- 研究所名:北海道農業研究センター・畑作研究領域
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
ダイズの狭畦栽培は多収が期待され一部地域に導入がはかられている。北海道東部畑作地帯のダイズ栽培においては、タニソバ等に対する機械除草の効果が劣り、生残した雑草に対する選択性茎葉処理除草剤の効果も劣るため、収穫前に行われる拾い草の作業負担の増加が懸念される。生残した雑草を減らすために、非選択性除草剤の畦間処理や畦間株間処理は有効であるが、処理時の薬液の飛散は畦間処理では認められず、畦間株間処理でもダイズ本葉への飛散を避ける必要がある。したがって、狭畦栽培のダイズに非選択性除草剤の適用をはかるには、機械散布において薬液の飛散程度と薬害による減収リスクを検証する必要がある。そこで本情報では、ダイズ狭畦栽培において生育期の除草剤による防除法を確立するために、非選択性除草剤を自走式スプレーヤおよび直装式スプレーヤに飛散防止アタッチメントを装着して畦間に処理し、除草効果と収量への影響を地域の主要品種である「トヨハルカ」と「ユキシズカ」を用いて検証する。
成果の内容・特徴
- 「トヨハルカ」と「ユキシズカ」の狭畦栽培(条間45cm、株間7.4cm)において、生育期に生残している主要雑草種はタニソバである(図1)。
- 処理時に生残しているタニソバ等に対する、非選択性除草剤による畦間への処理による除草効果は高く、雑草の生残数は機械除草区の約半数となる(図1)。
- 薬液飛散防止用のカバーをつけたドリフト低減ノズルの装着により、狭畦栽培においても薬液の飛散は軽減できるが、初生葉への飛散が一部に認められるため、防除には畦間株間処理に登録のある薬剤を使用する必要がある(図2)。
- 畦間に非選択性除草剤を処理したダイズの収量は機械除草区と差が無く、ダイズ収量に対する畦間株間処理の薬害の影響は認められない(図3)。
成果の活用面・留意点
- ダイズの狭畦栽培(条間45cm)の雑草防除に活用する。
- ダイズ播種時の土壌処理除草剤(ジメテナミド・リニュロン乳剤)との体系処理である。
- ダイズの畦間株間処理には2012年度よりグルホシネートが使用できる。なお、本試験で使用したビアラホスの農薬登録は試験終了後に失効した。
- 本情報は、北海道の乾性火山灰土、タニソバが優占する畑作農家圃場での結果である。
具体的データ
(石川枝津子)
その他
- 中課題名:業務用野菜・畑作物を核とした大規模畑輪作生産システムの確立
- 中課題番号:113a1
- 予算区分:委託プロ(担い手、水田底力)
- 研究期間:2007~2011年度
- 研究担当者:石川枝津子
- 発表論文等:石川(2011) 雑草研究、56:81-88