貯蔵後の品質に優れる短節間性カボチャ新品種「ジェジェJ」

要約

カボチャ「ジェジェJ」は、2~3ヶ月の貯蔵(10°C)後においても品質が優れ、端境期(12~5月)出荷が可能な多収のF1品種である。短節間性を有するため省力栽培が可能である。

  • キーワード:カボチャ、貯蔵性、短節間、多収、高粉質
  • 担当:業務需要畑野菜作・露地野菜品種開発
  • 代表連絡先:電話 011-857-9260
  • 研究所名:北海道農業研究センター・水田作研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

国産カボチャの周年供給への要望は強いが、これまで端境期におけるカボチャの生産・出荷が困難であった。そこで、周年供給を容易にするため、省力栽培に適する短節間形質を有して収量性が高く、貯蔵後も品質が優れる品種の育成を行う。

成果の内容・特徴

  • 「ジェジェJ」は、株式会社渡辺採種場が開発したつる性で高貯蔵性の「LOH」を種子親とし、北海道農業研究センターが開発した短節間性の「北海6号」を花粉親とするF1品種である(図1)。
  • 生育初期において主枝(つる)は節間が詰まり、短節間性を示す。しかし、生育中期以降は徐々に節間が伸長してつる性となる。側枝の発生数は、「えびす」に比べて少ない。短節間で側枝が少なく株元に着果しやすいことから、整枝・誘引、収穫作業の省力化が図られ、密植栽培が可能である。雄花の開花時期は「えびす」と同じで、雌花の開花時期は「えびす」よりやや遅い(表1)。
  • 果形は扁円形である。収穫直後の果皮の地色は濃緑で緑色のすじの模様がある(図2)。果実重量は2.0kg程度で「えびす」とほぼ同じ大きさである。総収量、規格内収量は「えびす」、「雪化粧」以上であり、多収である(表2)。
  • 貯蔵2ヶ月後(10°C)の腐敗果率は「えびす」、「雪化粧」より小さい。3ヶ月後では「雪化粧」より劣るが、「えびす」と同等以上である。
  • 貯蔵3ヶ月後における果皮色は「えびす」よりも緑色が濃く、果肉色は赤味が強まり橙黄~橙になる。肉質は粉質性が強く、乾物率およびBrixは「えびす」より高く、「雪化粧」と同等である(表2、図2右)。

成果の活用面・留意点

  • 本州、九州地域等の端境期出荷に向けた抑制栽培、北海道などの春播き露地栽培に適する。
  • 密植栽培(畝幅150~200cm、株間50~60cm。または、畝幅300cm株間50cm2条植え)に適する。
  • 着果後は葉の枯れ上がりによる日焼けが生じやすい。
  • 貯蔵2ヶ月以降は腐敗果が発生しやすい。
  • 種子は株式会社渡辺採種場から販売予定である。

具体的データ

図1~2、表1~2

その他

  • 中課題名:露地野菜の高品質・安定供給に向けた品種・系統の育成
  • 中課題整理番号:113b0
  • 予算区分:交付金、実用技術
  • 研究期間:2010~2013年度
  • 研究担当者:杉山慶太、嘉見大助、室 崇人、渡邉春彦((株)渡辺採種場)、勝又雅彦((株)渡辺採種場)
  • 発表論文等:杉山ら「ジェジェJ」2013年7月12日品種登録出願(第28352号)