多収でそばかす病に強いアルファルファ品種「北海6号」
要約
アルファルファ「北海6号」は北海道および北東北において多収で、2、3番草にその傾向が強い。そばかす病罹病程度が小さいため越冬態勢を確保できる。「ハルワカバ」に比べて倒伏程度が小さい。
- キーワード:アルファルファ、多収、そばかす病、倒伏
- 担当:自給飼料生産・利用・飼料作物品種開発
- 代表連絡先:電話 011-857-9260
- 研究所名:北海道農業研究センター・酪農研究領域
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
北海道におけるアルファルファ栽培面積は、10年前の8,000haから現在では30,000haへと急増している。2003年に育成された「ハルワカバ」は本来、土壌凍結地帯向けの品種であるため、草型が開張型で倒伏程度が大きくなる傾向があった。アルファルファの安定栽培のためには、耐倒伏性を改善し、「ハルワカバ」よりさらに多収で、病虫害に強く、十分な耐寒性をもつ品種が必要である。
成果の内容・特徴
- 北海道7場所平均では試験期間中の総乾物収量は「ハルワカバ」「ケレス」と比べて108%の多収である(図1)。
- 秋季休眠程度が4.9と中程度で、北海道向きに育成された品種のなかでは最も秋季休眠性程度が小さく(表1)、北東北においても標準品種に比べて多収を示す(図1)。
- 草丈は「ハルワカバ」よりやや高く、番草ごとに比べると、2、3番草で差が大きくなり、収量も2、3番草で高くなる(表1)。
- そばかす病罹病程度は明らかに小さく(図2)、越冬態勢を十分に確保できる。根釧農試における耐寒性特性検定試験では、耐寒性、耐病性とも「ハルワカバ」と同じ「中~やや強」の判定である。
- 倒伏性程度は「ハルワカバ」に比べて小さく、「ケレス」と同程度である(図3)。
成果の活用面・留意点
- 「北海6号」の競合力は「ハルワカバ」よりもやや強いので、当面はオーチャードグラスとの混播で進める。チモシーとの混播は播種量や播種時期をさらに検討する。
- 北海道一円と北東北地域に適する。
- 市販種子の供給は2018年から開始する計画である。
具体的データ
その他
- 中課題名:水田・飼料畑・草地の高度利用を促進する飼料作物品種の育成
- 中課題整理番号:120b0
- 予算区分:交付金、農食事業
- 研究期間:1994~2013年度
- 研究担当者:廣井清貞、内山和宏、我有 満、奥村健治、磯部祥子、山口秀和、澤井 晃、高田寛之、松村哲夫、牧野 司(根釧農試)、佐藤尚親(畜試)、林 拓(根釧農試)、酒井 治(十勝農試)、出口健三郞(畜試)、藤井弘毅(北見農試)、澤田嘉昭(退職)、中島和彦(退職)、中村直樹(根釧農試)、安達美江子(ホクレン)、道場和也(ホクレン)、岩渕 慶(ホクレン)
- 発表論文等:2014年4月以降に品種登録出願予定