赤皮黄肉で病虫害抵抗性が優れるばれいしょ新品種「あかね風」
要約
ばれいしょ「あかね風」は赤皮黄肉で地上部もアントシアニン着色がある特徴的な外観であり、小規模栽培向けの新たな需要が見込まれ、ジャガイモシストセンチュウ、ジャガイモYウイルス(PVY)に抵抗性であるため病虫害の拡大を防ぐ効果が期待される。
- キーワード:赤皮黄肉、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性、PVY抵抗性
- 担当:ブランド農産物・バレイショ品種・開発利用
- 代表連絡先:電話 011-857-9260
- 研究所名:北海道農業研究センター・畑作物研究領域
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
近年、産直販売所等で販売される青果用バレイショは皮色や肉色など既存品種と異なる特徴を持つ品種が人気アイテムとなっている。赤皮黄肉で現在出荷されている品種は「アンデス赤」や「レッドムーン」であり、いずれもジャガイモシストセンチュウとジャガイモYウイルス(PVY)に抵抗性を有していない。産直販売所に出荷される生産物の多くは近隣の小規模生産によって供給されるが、その種いもの自家採種率は高く、病虫害の汚染源となる危険性がある。このため、特徴的な外観を有し病虫害抵抗性の品種の育成を行う。
成果の内容・特徴
- 「あかね風」は赤皮黄肉の「レッドムーン」を母、「スタールビー」を父とした交配から得られた品種である(図1)。
- 「あかね風」の上いも重は「男爵薯」、「スタールビー」よりも多収であり、上いも平均重も重いため、生食用の規格内収量でも多収である(表1)。でん粉価は「男爵薯」並で「スタールビー」よりもやや低い(表1)。
- ジャガイモシストセンチュウ抵抗性、PVY抵抗性を有しており、これらの病害虫の汚染源となる危険性が低い(表2)。
- 「あかね風」の皮色は「赤」、肉色は「明黄」、塊茎の形は「卵形」であり特徴のある外観をしている(表2、図2)。また、花のアントシアニン着色程度が「強」で、茎や葉にもアントシアニンの着色がみられ。地上部も特徴のある外観をしている(表2、図2)。
成果の活用面・留意点
- 小規模生産向け品種として種いもの生産が見込まれる。
- 塊茎肥大が「男爵薯」より遅いため、早掘りすると低収となる場合があり、生育期間を確保する必要がある。
具体的データ
その他
- 中課題名:周年安定供給が可能な高品質のバレイショ品種およびその管理技術の開発
- 中課題整理番号:320a0
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2000-2013
- 研究担当者:田宮誠司、津田昌吾、森 元幸、小林 晃、高田明子、浅野賢治、西中未央、向島信洋(長崎県)
- 発表論文等:2014年1月6日品種登録出願