黄赤色の花色を持つアルストロメリア新品種候補「羊ヶ丘1号」、「羊ヶ丘2号」
要約
種間交雑、胚珠培養により育成した黄赤色の花色を持つアルストロメリア「羊ヶ丘1号」は4~6月の採花本数が多く、「羊ヶ丘2号」は3~5月の採花本数が多いほか7月以降の夏秋期にも採花が可能である。いずれも小輪多花性で花には芳香がある。
- キーワード:アルストロメリア、種間雑種、胚珠培養、花色、芳香性
- 担当:日本型施設園芸・新形質花き創出
- 代表連絡先:電話 011-857-9260
- 研究所名:北海道農業研究センター・水田作研究領域
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
アルストロメリアは切り花の周年生産が行われ、年間を通して需要がある。現在利用されている品種の大部分はオランダで育成されたものであり、花色や花型の片寄りや夏季の収量減少などの問題があるが、国内の民間種苗会社では切り花向き品種の育成はほとんど行われていない。そこで、種間交雑により従来の切り花用品種にない黄赤色の花色を持ち、生産性に優れた品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 子房親は黄色花で常緑性の野生種オーレア(Alstroemeria aurea)、花粉親は黄赤色花で芳香があるブラジリアンハイブリッド品種の「メイプリスタ」(A.'Mayprista')および「メロープリスタ」(A.'Mellowprista')である。2000年~2003年にオーレア×「メイプリスタ」の種間交雑を行い、胚珠培養により得られた49個体の雑種から、花色や生産性に優れた1系統を最終選抜したものが「羊ヶ丘1号」である。また、2004年5月にオーレア×「メロープリスタ」の種間交雑を行い、胚珠培養により得られた5個体の雑種から、花色や生産性に優れた1系統を選抜したものが「羊ヶ丘2号」である。
- 「羊ヶ丘1号」の花は、黄赤色の小輪で甘くさわやかな芳香がある(表1、図1)。
- 「羊ヶ丘2号」の花は、黄色と黄赤色の二色咲きで甘くさわやかな芳香がある(表1、図2)。花弁幅が1.5cmと「羊ヶ丘1号」に比べて細弁である。
- 切り花長は「羊ヶ丘1号」が88.2cm、「羊ヶ丘2号」が73.9cmで栽培管理もしやすい長さである(表1)。花梗長は5.2~6.4cmと「レベッカ」の1/2程度であり、花序がコンパクトにまとまり、フラワーアレンジメントに利用しやすい。
- 1株当たりの規格内採花本数は「レベッカ」と同程度である(表2)。「羊ヶ丘1号」は4月~6月に採花本数が多い。「羊ヶ丘2号」は3月~5月にかけて採花本数が多く、7月以降の夏秋期にも採花が可能である。
成果の活用面・留意点
- カジュアルフラワーとしてアレンジメントなどに利用しやすい。
- 暖地での栽培適性については未検討である。
- 品種登録出願を行い、民間種苗会社への許諾により普及を図る。
具体的データ
その他
- 中課題名:分子生物学的手法による新形質花きの創出
- 中課題整理番号:141h0
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2000~2014年度
- 研究担当者:村田奈芳、篠田浩一
- 発表論文等:村田、篠田「羊ヶ丘1号」、「羊ヶ丘2号」2015年3月品種登録出願予定