カンショ新品種候補系統「九州113号」
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要約
カンショ「九州113号」は紫色の天然着色料として有望なアントシアンを塊根中に多量に含む品種で、収量性や澱粉歩留も従来のアントシアン品種より優れており、カンショの需要拡大に役立つ。
- 担当:九州農業試験場・畑地利用部・甘しょ育種研究室
- 連絡先: 0986-22-1506
- 部会名: 作物生産
畑作
- 専門: 育種
- 対象: いも類
- 分類: 普及
背景・ねらい
でん粉の輸入自由化によりカンショの生産や需要の大幅な減少が予想される。でん粉以外の新用途向け品種の1つとして、紫色の天然色素であるアントシアンを多量に含む実用品種を開発することにより、カンショの需要拡大を図り、地域経済の維持・発展に寄与する。
成果の内容・特徴
- 「九州113号」は高アントシアン系統「九州109号」を母、低糖品種「サツマヒカリ」を父とする交配に由来する新品種である(表参照)。
- アントシアン色素の含有量は在来品種「山川紫」の約4倍、育成系統の「九州109号」の約1.5倍で、極めて高い。
- 収量性は「高系14号」並で、「九州109号」より20%程度高い。
- 切干歩合は「高系14号」より2~3%高く、「九州109号」より4~5%高いので、ペーストなど加工用としても利用可能である。
- 病虫害抵抗性は、黒斑病に中、ネコブセンチュウにやや強、ネグサレセンチュウに中で、いずれも「高系14号」より強い。
- 貯蔵性は「高系14号」並のやや易である。
成果の活用面・留意点
- 南九州・沖縄のカンショ作地域に適する。
- 塊根に含まれる紫~赤色のアントシアンは天然着色料として食品などで利用される。
- 従来のアントシアン系統とくらべ、肥沃地でもつるぼけしにくい。
- マルチ栽培でいもが長くなり易いので、堀取深度に留意する。
- 黒斑病抵抗性が中であるので、同病害多発地帯では防除に努める。
具体的データ

その他
- 研究課題名:暖地向け優良かんしょ品種の育成・高アントシアン甘しょ品種の育成
- 予算区分 :経常・交流共同
- 研究期間 :平成6年度(平成2年~平成6年)
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発表論文等:高アントシアンかんしょ系統の選抜、九州農業研究 第54号、P45、
1992