ソルガムの品種と播種期の組み合わせによる労働の平準化

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要約

労働平準化のためのソルゴー型ソルガムの栽培法を策定した。品種と播種期と収穫期を組み合わせることにより、4~8月播種、7月末~12月収穫が可能である。

  • 担当:九州農業試験場・草地部・飼料作物研究室
  • 連絡先: 096-242-1150
  • 部会名: 草地・生産管理
                九州、畜産・草地
  • 専門: 栽培
  • 対象: 雑穀類
  • 分類: 指導

背景・ねらい

十分な労力や機械施設等を持たない畜産農家では、飼料作物の播種・収穫時に過大な労働ピークを生じることが多い。そこで、労働を分散させるために、ソルゴー型ソルガムの早生~晩生の優良品種を選定し、これを4~8月に播種するとともに、立毛貯蔵によって収穫期を延長することで長期間にわたる収穫が可能な栽培法を確立しようとした。

成果の内容・特徴

  • 収量、糖度、耐倒伏性、耐病性等の点から、早生はFS305、中生はKCS105、晩生は褐色在来宮崎を優良品種として選定した。
  • 各播種期における糊熟期収穫の多収品種は、4、5月播ではKCS105、6月播では褐色在来宮崎、7月播ではKCS105、8月播はFS305であった。この場合の各播種期の1・2番草合計乾物収量は約110~350kg/aとなり、平均で約220kg/aであった。収穫は品種を組み合わせることにより8月中旬~11月中旬の間に7回行うことが可能であった。また、4月播のFS305では7月末からの収穫ができた(表1)。
  • 4月播の2番草、7、8月播の1番草を立毛貯蔵することにより、通常の糊熟期収穫より約1か月遅い12月中旬まで収穫期を延長することができた。その場合の乾物収量は、糊熟期収穫の場合の70~86%となった(表2)。なお、翌年の1月まで立毛貯蔵した場合では倒伏が著しくなり、収穫が困難となった。
  • 12月中旬までの立毛貯蔵後の飼料成分は、糊熟期収穫の場合と比較して細胞内容物(OCC)が増加し、細胞壁物質(OCW)が減少した。細胞壁物質のなかでは高消化性繊維区分(Oa)、低消化性繊維区分(Ob)ともに減少した。全体としては、高消化性画分(OCC+Oa)の割合は増加した(表3)。
  • 労働平準化を目的とした本栽培法は、4~8月に各月1回、各播種期に適した品種を播種することによって、収穫を7月末~12月中旬の間に分散させることができる(表4)。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は、労力、機械等の不十分な畜産農家における労働ピークの解消に役立つ。
  • 1月以降の立毛貯蔵は、品質、作業上の問題から困難である。

具体的データ

表1 4~8月播における多収品種の生育と収量

表2 立毛貯蔵収穫における収量

表3 立毛貯蔵収穫におけるKCS105の飼料成分

表4 長期にわたる連続的収穫を可能にする品種と播種期の組合せ

その他

  • 研究課題名:高糖性ソルガムの3シーズン収穫栽培法
  • 予算区分 :大型別枠(新需要)
  • 研究期間 :平成6年度(平成3~5年)
  • 発表論文等:ソルゴー型ソルガムの品種と播種期の組み合わせによる計画栽培法、
                      日草誌 40(別):53-54