収穫後の低温処理による青果用カンショの品質向上

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要約

青果用カンショ有望系統の「九州112号」は貯蔵性が優れ、塊根を5度で2週間低温処理することにより、ショ糖含量が増加し、蒸いもの肉色や食味などの品質を向上させることができる。

  • 担当:九州農業試験場・畑地利用部・甘しょ育種研究室
  • 連絡先:0986-22-1506
  • 部会名:総合農業・作物生産、畑作
  • 専門:育種
  • 対象:いも類
  • 分類:研究

背景・ねらい

いもの外観や収量性が優れ、貯蔵性のよい青果用カンショ「九州112号」を低温処理することにより、食味や肉色など蒸いも特性の向上を図ろうとした。

成果の内容・特徴

「九州112号」と「高系14号」に対して、収穫直後の塊根に5度の低温処理を行った結果、「九州112号」で以下のような蒸いもの品質改善効果が認められた。

  • 5度で2週間の低温処理により、処理直後ではショ糖含量が急激に増加し、蒸いもの食味が顕著に向上する(表1)。
  • 低温処理を行っても、蒸いもの黒変が生じることはなく、肉色の黄みが増加する(図1)。
  • 低温処理による蒸いもの肉質の粘質化が起こらず、適度な硬度が保持される(表1)。
  • 低温処理期間が1週間より2週間と長い方がショ糖の増加が顕著で、食味も良くなる。
  • 低温処理後の時間経過にともない、ショ糖含量が減少し、蒸いもの肉色も黒変により劣化する(図1、表1)。

成果の活用面・留意点

  • 収穫後の温度が高い地域や作型での食味改善に利用できる。
  • 低温処理後直ちに加工することにより、品質のよい焼いもやペーストが製造できる。
  • 低温処理後の室内放置は食味や肉色などを劣化させるもので、なるべく早く食用に供するかまたは加工する必要がある。
  • 貯蔵いもに対する低温処理の効果や処理後の品質維持についての検討が必要である。

具体的データ

表1.低温処理が蒸いもの硬度や糖含量に与える影響

 

図1.低温処理(有・無)及び処理後の放置期間(直後・2週間)が蒸いものL(明度:黒変度の指標)及びb(黄みの指標)に与える影響

 

その他

  • 研究課題名:暖地向き優良かんしょ品種の育成
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年度(昭和61年~平成7年)
  • 発表論文等:第9回いも類研究会トピックス発表