イタリアンライグラス厚播きによるカラクサナズナの耕種的防除
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要約
イタリアンライグラスを通常量の2倍で厚播きすることにより、カラクサナズ
ナの生長と着花を抑制できる。また、この場合のイタリアンライグラス中への本雑草混入量は微小であり、それを採食した牛の牛乳にも異常臭は感じられない。
- 担当:九州農業試験場・草地部・飼料作物研究室・畜産部・環境生理研究室、長崎県畜産試験場・草地飼料科
- 連絡先:096-242-1150、0957-68-1135
- 部会名:草地・生産管理、畜産・草地
- 専門:雑草
- 対象:牧草類
- 分類:普及
背景・ねらい
帰化雑草カラクサナズナ(カラクサガラシ、インチンナズナ、学名:Coronopusdidymus)は、イタリアンライグラス等の冬作飼料畑中に発生し、牛が採食すると、牛乳に異常臭を生じることがある。イタリアンライグラス中に発生した本雑草は発見しにくく、また、除草剤による防除も困難であるため、耕種的な防除法の開発が必要である。
成果の内容・特徴
- カラクサナズナは越年性雑草であり、イタリアンライグラスの播種時期に当たる9~10月に出芽し、翌春に開花・結実しながら生長し、6~7月に枯死する。
- イタリアンライグラスを通常の倍量(5.0キログラム/10アール)で播種すると(厚播き区)カラクサナズナの生長を大幅に抑制できる(表1)。
- 厚播き区のイタリアンライグラス収量は、通常量(2.5キログラム/10アール)を播種した区(標準区)と同等である。厚播き区のイタリアンライグラスへのカラクサナズナの混入量は、乾物ベースで0.075%となる(表1)。
- 乳牛の通常の給与条件で、厚播き区のイタリアンライグラスへの混入量の2倍に相当するカラクサナズナを給与しても(表2)、牛乳の異常臭は感じられない(表3)。
- イタリアンライグラスを厚播きにすると、カラクサナズナの花器形成を抑制できるので、本雑草の以降の蔓延を防止できる(表1)。
成果の活用面・留意点
- 供試イタリアンライグラスは、立型の品種(タチワセ)であり、異なる草型の品種等への適用については未検討である。
- イタリアンライグラス2番草については未検討である。
- 牛乳の異常臭の官能試験は九州農業試験場職員による。
具体的データ



その他
- 研究課題名:飼料畑における強害帰化雑草の発生予測と制御技術の確立
- 予算区分:特研(強害雑草)
- 研究期間:平成7年度(平成5~8年度)
- 発表論文等:イタリアンライグラス密植によるカラクサガラシの生長制御、雑草研究40(別1)、1995