夏季の産乳飼料としてのトウモロコシの有用性
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要約
夏季のトウモロコシ主体の配合飼料の給与は大麦主体の配合飼料の給与に比べて牛乳中への窒素及びエネルギーの移行割合を増加させる。また、トウモロコシと魚粉を組み合わせることによってさらに窒素の利用効率を高めることができる。
- 担当:九州農業試験場・畜産部・環境生理研究室
- 連絡先:096-242-1150
- 部会名:畜産、九州農業
- 専門:飼育管理
- 対象:乳用牛
- 分類:指導
背景・ねらい
トウモロコシは第一胃内における消化速度の遅いデンプン質飼料であり、濃厚飼料の給与割合が高まる傾向にある夏季の産乳飼料の配合原料として利用価値が高いものと思われる。そこで、暑熱環境下におけるトウモロコシの有用性を泌乳牛によるエネルギー及び窒素出納の面から明らかにする。
成果の内容・特徴
- 暑熱環境下で濃厚飼料の給与割合が高い時に、トウモロコシ主体の配合飼料を給与すると大麦主体の配合飼料の給与に比べて、乳成分には大きな違いはみられないものの、牛乳中への窒素及びエネルギーの移行割合が高まる(図1)。
- 熱発生量、体温及び呼吸数には給与飼料による差はみられなかった。また、デンプン質飼料多給時の暑熱環境下での代謝エネルギーの乳生産に対する利用効率は65.6プラスマイナス5.3%であり、適温域での値との間には差はみられない(図2)。
- トウモロコシ主体配合飼料給与時に併給する蛋白質飼料として、魚粉の給与が有効であり、これより尿中への窒素排泄量を大幅に削減することができる(図3)。
成果の活用面・留意点
具体的データ



その他
- 研究課題名:飼料特性に基づく泌乳牛の暑熱対策技術の検討
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成7年度(平成3~7年)
- 発表論文等:
1)トウモロコシの分解性の違いが高温環境下における泌乳牛のエネルギー及び窒素出納に及ぼす影響、第44回西日本畜産学会大会、1992、
2)大麦あるいはトウモロコシを主体とする濃厚飼料給与時の高温環境下における泌乳牛のエネルギーおよび窒素出納、第88回日本畜産学会大会、1994、
3)Effectofheatstressontheefficiencyofutilizationofmetabolizableenergyforlactation,Proc.13thSymp.EnergyMetabolism,EAAPPubl.No.76,1994.