暖地向き桑新品種候補系統「九75-08」
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要約
暖地向き桑新品種候補系統「九75-08」は、枝条倒伏が少なく、密植栽培での機械収穫に適応し、密植栽培や夏秋蚕期に多収である。
- 担当:九州農業試験場・作物開発部・桑育種・養蚕研究室
- 連絡先:096-242-1150
- 部会名:蚕糸・昆虫機能、蚕業
- 専門:育種
- 対象:工芸作物類
- 分類:普及
背景・ねらい
西南暖地では、風雨による倒伏や病害虫の多発、晩秋以降の葉質劣化などがみられるため、耐倒伏性、耐病性、密植適応性などを有する優良品種の育成が望まれている。そこで、耐倒伏性、耐病性(縮葉細菌病)などに優れ、西南暖地普通及び密植栽培に適応する良質多収性桑品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 「九75-08」は「魯八」を母本に「はやてさかり」を父本として交配し、選抜した系統である。
- 枝条長は「しんいちのせ」よりやや短く、株内枝条長は斉一であり、枝条数は多い。特に、晩々秋蚕期に顕著である(表1、2)。
- 枝条の倒伏は少なく(表1、2)、「はやてさかり」のような枝の広がりがない。また、耐台風性は「はやてさかり」並である。
- 条径は「はやてさかり」(19.8ミリメートル)より4%細く、条長径比は9%小さい。
- 収量は、夏秋蚕期に多い(表2、3)。
- 縮葉細菌病には強いが(表1、2)、裏うどんこ病は「しんいちのせ」並である。
- 蚕飼育成績による飼料価値は「はやてさかり」並である(表3)。
- 古条さし木による活着性(活着率80%)は良好である。
成果の活用面・留意点
本系統は四国・九州の平坦地及び中山間地帯での普通植え及び密植栽培に適し、夏秋蚕期の壮蚕用桑に適する。萎縮病抵抗性は「剣持」並であることから、本病の激発地への導入は避ける。
具体的データ



その他
- 研究課題名:暖地向き優良桑品種の育成
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成7年度(昭和50~平成7年度)
- 発表論文等:なし