日本で発生したメロンつる割病菌レースの判別とその分布

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

メロンのアムスと大井およびマクワウリの黄金九号を判別品種として用いると、日本産メロンつる割病菌のレース判別が可能である。レース0およびレース2は全国的に広く分布し、レース1,2yは高知県と北海道に、レース1は滋賀県にのみ分布する。

  • 担当:九州農業試験場・地域基盤研究部・微生物制御研究室
  • 連絡先:096-242-1150
  • 部会名:総合農業(生産環境)、病害虫
  • 専門:作物病害
  • 対象:果菜類
  • 分類:指導

背景・ねらい

メロンつる割病は、全国のメロン産地に発生している。本菌にはレースが存在することがRisserら(1976)によって明らかにされているが、わが国ではこれまでに全国規模でのレース分布調査は実施されていない。また、Risserら(1976)のレース判別品種はいずれも外国産の固定種であり、市販されていないため自家採種が必要である。そこで、メロン、マクワウリおよびシロウリ各品種の中からレース判別が可能で、入手が容易な代替品種を選定する。さらに、抵抗性品種の効率的利用に向けて、レース分布の実態を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 全国の主要な産地の異なる圃場から収集したメロンつる割病菌73菌株は、メロンの「アムス」と「大井」、およびマクワウリの「黄金九号」に対する病原性が異なる4つの系統に類別される。これら4系統は、Risserら(1976)によるレース0、1、2、1,2yと病原性が一致している。したがって、上記の3品種を用いればレース判別が可能である(表1)。
  • 滋賀県でメロンの黄化・枯死株から分離された菌株は、判別品種に対する病原性から、わが国では未記録であったレース1と判定される(表1)。本レースは、「メロンパートナー」を除くメロンの全供試品種に病原性を示すが、マクワウリおよびシロウリに対しては「長崎漬瓜」を除き、病原性を示さない(表2)。したがって、「メロンパートナー」を台木として用いれば、レース1の防除が可能であることが示唆される。
  • 従来の抵抗性品種による防除が可能なレース0およびレース2は、全国各地に分布しているが、有効な抵抗性素材が見当らないレース1,2yは北海道と高知県に、レース1は滋賀県にのみ分布が限定されている(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 抵抗性品種を育成し、効率的に利用するうえで参考資料となる。
  • 本病原菌は種子伝染するため、今後ともレース分布に関する継続的な調査を行う必要がある。

具体的データ

表1.日本で栽培されている品種を用いたメロンつる割病菌の簡易レース判別

 

表2.抵抗性品種を侵すレースの病原性の比較

 

図1.日本におけるメロンつる割病菌4レースの分布状況

 

その他

  • 研究課題名:遺伝子マーカーを利用したFusariumoxysporumの分化型の類別と個体群構造の解析
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年度(平成3~8年)
  • 発表論文等:GeneticrelatednessamongpathogenicvariantsinFusariumoxysporumcausingwiltsofcucurbitsmeasuredbyDNAfingerprintingwithnuclearrepetitiveDNAsequences、JARQ、(投稿中)。