成型化によるオガクズ牛ふん堆肥の窒素放出パターン制御
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要約
堆肥を成型すると取扱いが容易になると共に、窒素の肥効パターンを制御することができる。堆肥の持つ土壌物理性の改善効果は、成型化を行っても維持できる。
- 担当:九州農業試験場・総合研究部・総研3チーム
- 連絡先:096-242-1150(3207)
- 部会名:総合研究、生産環境、畜産
- 専門:土壌肥料
- 対象:
- 分類:研究
背景・ねらい
畜産基地としての九州地方にとって、多量に排出される家畜ふん尿の処理・利用技術の開発は急を要する問題である。特に、平均的耕種農家が化成肥料感覚で利
用できる形態・特性を備えた堆肥の開発によって消費を確保し、流通に乗せることは、資源の効率的循環のために必須である。そのため、成分・養分放出パター
ンの調整などの付加価値をつけた高品質堆肥の生産・利用技術の開発を図る。
成果の内容・特徴
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バラのオガクズ牛ふん堆肥は、施用後2週間まで無機態窒素の放出が盛んであるが、それ以降は放出が低下する。(図2)
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ローラダイ式成型機で成型したオガクズ牛ふん堆肥は、土壌中の無機態窒素濃度を6週間ほぼ一定に保っており、植物への窒素供給を長期にわたって安定的に行うことができる。(図3)
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成型化によって、堆肥からの窒素の放出が調節できるため、土壌中の窒素濃度を高めることなく植物への効率的な窒素供給が可能となる。
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成型しても、容積重の低下、飽和透水係数の増大など堆肥の持つ土壌物理性の改善効果は維持できる。(表1)
成果の活用面・留意点
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堆肥の成型化によって窒素の持続的肥効が期待できるので、有機質肥効調節型肥料として窒素要求の長期にわたる果菜類や、作付回数の多い葉菜類などに利用できる。
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長期生育の作物を供試して、さらに長期間の窒素の挙動を調べる必要がある。
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堆肥の種類・成型サイズと窒素放出パターンの関係、連用が蓄積に及ぼす影響などを明らかにする必要がある。
具体的データ

図1 試験期間中の地温経過

図2 バラ堆肥の窒素放出パターン

図3 成型堆肥の窒素放出パターン

表1 土壌物理性の変化(8週目)
その他
- 研究課題名:高品質・高付加価値堆肥の低コスト生産・利用技術の開発
2高品質堆肥の肥効特性・土壌改良効果の評価と利用技術の確立
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成8年度(平成7~9年)